雑談恐怖症を克服するために、コミュニケーションの本を読んだり、話し方教室に通ったりする人は多いですが、ほとんど効果が出ていません。
コミュニケーション能力の低さが雑談できない原因ではないからです。
雑談恐怖症はカウンセリングを受けて雑談の土台を形成し、ブレーキになっている心理的な問題を解決していくことで克服に向かいます。
雑談恐怖症とは?
雑談恐怖症は対人恐怖症の一種であり、決まった内容であれば問題なく話せるのに雑談になると急にしゃべれなくなってしまう症状です。
学校、職場、飲み会、子供の送迎、親戚や友達同士の集まり等、雑談の場はいくらでもあるので悩んでいる人が多いですね。
面白い話ができない、コミュニケーションが下手だという認識が強く、普段から相手が求める答えや相手が興味を持つ話を一生懸命考えて話そうとしています。
だから、仕事上のやり取りなど答えがある会話は比較的大丈夫なのですが、雑談のように何を話してもいい答えのない会話ができない。
仕事の話でも想定していない範囲の話が出てきたりすると、どうしていいかわからず頭が真っ白になってしまうケースもあります。
人と仲良くなる上で不可欠な自己開示が上手くできないため、他人との距離感を縮めて親密になることができません。
雑談恐怖症の人に見られる特徴
気を遣い過ぎている
雑談恐怖症の人は、自分が話したいかどうか、聞きたいかどうかよりも、相手がどう思うかを過剰に気遣って話しています。
話したいことがあっても「こんなこと聞きたくないんじゃないか」「興味がないだろう」と勝手に判断して言わない。
何か質問して素っ気ない答えだったら「変なことを聞いてしまったんじゃないか」と不安になったり、沈黙の時間が少しでもあると「自分と話していてもつまらないんじゃないか」と思ったりする。
相手のことを聞くのは失礼になるのではと考え、些細なことすら聞けない状態になる人は多いです。
3人以上の場面で他の人が楽しそうに話しているとき、邪魔になってはいけないと思って会話に入れない。
LINEやメールを送るときでも、文章がおかしくないか、絵文字を使った方がいいか等、気にしすぎてものすごく時間がかかってしまうことがよくあります。
雑談に結果を求めている
雑談とは相手が求めている話をして、「話が続いたかどうか、盛り上がったかどうか」という結果を得ていくものではありません。
自分が話したいことを話す、聞きたいことを聞く。
相手が興味あるかどうか、知っているかどうかは多少気にしますが、基本的に自分が話したいことを話すのが雑談なんですよね。
「こないだ〇〇さんと飲みにいってさぁ…それで…ハハハ」と親しい人に話したとしても、「へー、そうなんですね」で終わることもあります。
これが雑談であって、たまたま相手が興味持つ話であったり、相手が他人に興味を持ちやすい人であれば、「へー、何時くらいまで飲まれてたんですか?」といった感じの質問があって話が続いていくものです。
雑談恐怖症の人は結果を求めすぎて、ただ会話を楽しむ感覚を見失っています。
受身で会話が続かない
自分のことを知られたくない気持ちが強いだけでなく、話すのが下手だと思っているので自分から話しかけようとは思いません。
基本的に話しかけてもらえるのを待っていて、聞かれたことに答える、相手が質問してくれる、答えるを繰り返す受身の状態になっているんですよね。
その結果、会話を展開させる感覚が養えず、相手に話しかけてもらったときの返事さえ展開できなくなっていきます。
相手が何か話しかけてきても「そうなんだ」と返すだけか、「へー、名古屋に行ってきたんだ」とオウム返しをするかくらいしかできない。
沈黙ができることで焦って無理やり話す、もしくは、話せなくて気まずい雰囲気を耐え続ける。
雑談をするたびに失敗を繰り返すからどんどん恐怖心が増して悪化していくのです。
雑談恐怖症を克服するために
自己理解を深める
自分のことを知っていて、話してもいいと思える内容が多ければ多いほど雑談はしやすくなります。
カウンセリングでは、日常の出来事や過去のエピソードをお話しいただき、質問を受けながら少しずつ自分のことを知っていきます。
自分が何に対してどう感じるのか、どう思うのか、どう考えているのか…
カウンセラーに自分の話を聴いてもらえる経験で安心感が養われ、今まで知られたくないと隠してきたことも話しやすくなっていきます。
学生生活を謳歌できていなかったこと、休日に一人で過ごしていること、人と違った感性があること等、知られたくなかったことを話せるようになった事例は多々ありました。
まず自己理解を深めることによって雑談の土台を作るところから始めます。
緊張を和らげる
雑談はリラックスした状態でおこなうものであるため、不安や恐怖による緊張が妨げになっています。
カウンセリングで以下の5つのことに取り組み、雑談の場でもリラックスできるようにしていきます。
- 不安や恐怖を生み出した原因を知る
- 緊張につながる思考のクセを改善する
- 雑談ができている人の感覚を知る
- 自分のペースで話す感覚をつかむ
- 安心感が増すアプローチをおこなう
緊張が緩和すると頭が働いて話しやすくなるだけでなく、イメージが浮かびやすくなって相手の話に興味を持ちやすくなります。
親子関係をはじめとする過去の人間関係で抱えたトラウマが影響しているケースもありますが、少しずつ向き合っていくことで改善することは可能です。
実際の雑談で成功体験を重ねる
カウンセリングの場で話せるようになってくると、職場や学校などのコミュニティでも話しやすい状態になっていきます。
ただ、今まで雑談をしてきた経験が少ないため、どうしても上手くいかないコミュニケーションを取ってしまいがちです。
不安な気持ちから相手の反応をネガティブに解釈してしまい、自分から相手との関係をギクシャクさせてしまうケースも少なくありません。
カウンセリングで実際の事例をお聴きしながら、ネガティブな解釈の修正やコミュニケーションを改善するレクチャー等をおこなうことで上手くいくようにしていきます。
今まで重ねてきた失敗体験が成功体験で上書きされることになり、自信がついて雑談恐怖症を克服することができるのです。
発達障害やHSP等、生まれ持った性質の影響で失敗経験を重ねている場合は、必要に応じてトレーニングをおこない上手くいくコミュニケーション方法を確立していきます。
雑談恐怖症で日々人とのかかわりに苦しんでおられるようでしたらご相談ください。