YouTubeを見続ける幼児的万能感が強い男性

幼児的万能感が今の日本社会を狂わせる一つの大きな要素になっているのではないかと最近すごく感じています。

幼児的万能感とは、何でも自分の思い通りになる感覚です。

  • 仮面ライダーのように変身できる
  • ドラゴンボールの孫悟空のようにかめはめ波が放てる
  • NARUTOに出てくるうちはサスケの瞳術が使える

現実的に考えて無理なことばかりですが、幼児的万能感があれば自分ならできると思えます。

幼い頃に誰もが持っていた感覚で、ある特定の人だけが持つものではありません。

赤ちゃんの時に自分が何もしなくても、ミルクがもらえて、おむつを替えてもらえて、抱っこしてもらえて…

すべてが自分の思い通りになっていた世界。

自分の能力だけでなく、他人も自分の思い通りに動かせるような感覚になっているのです。

幼児的万能感とニート

以前、社会に出たことのない親のすねをかじり続けているニートが探している仕事を聞かれて「年収3,000万、残業なし、完全週休二日制」といった感じのありえない回答をするのをテレビで観たことがありました。

年収3,000万が絶対無理かというとそうではありませんが、何をやるわけでもなく家でYouTubeを観ながら何の勉強もすることなく食っちゃ寝してる人間がいきなり3,000万の収入を得られるのはありえません。

しかし、本人は本気でそれだけの実力を自分は持っていると信じているのです。

現実は親のすねをかじっているだけのニートなのに、幼児的万能感によって「本気を出せば自分はできる」という根拠のない自信を持つから、こんな非現実的なことを平気で言えるんですよね。

幼児的万能感はニート以外にも、対人恐怖症、新型うつ(非定型うつ)や依存症、犯罪行為の実行にも大きな影響を及ぼしています。

幼児的万能感を抱えたまま社会に出ると不適合を起こす

就職しても自分は仕事ができる人間だと思い込んでいることで問題が起こります。

実際に仕事をやってみたら全然できない。

でも、できない自分を認められないから理想像にすがるようになってしまうのです。

ところが社会に出ると、理想とはかけ離れた現実が待っています。そこで折り合いをつけるため、架空の「できる人像」をセルフイメージして現実から目をそむけようとします。

引用元:【2】根拠のない自信家タイプ「でも、面倒なことをするのは嫌だ!」、2009、PRESIDENTオンライン

理想の中の自分は仕事がめちゃくちゃできている。

なのに、会社は自分を評価してくれないと不満を募らせていく。

口を開けば会社や上司の批判ばかり、周りの人たちはどんどん嫌気がさして離れていきます。

不満を抱えながらも職場に居座る人もいれば、自分にはもっと活躍できる場があるはずと早期に転職する人もいる。

現実逃避の気持ちが強くなると、「この会社では自分のやりたいことができない」と言って転職を目論みます。最近は入社して半年も経たないうちに辞める若者も多いようですが、その多くはこのタイプといっていいでしょう。

引用元:【2】根拠のない自信家タイプ「でも、面倒なことをするのは嫌だ!」、2009、PRESIDENTオンライン

どちらにしても現実世界では上手くいっておらず、職場で不適合の状態になってしまうのです。

肥大化する理想と縮小する現実の自分

幼児的万能感を抱えている人は、理想だけは高いのですが、現実の自分は置き去りになっています。

日々何の努力もしないのに、理想だけどんどん膨らませていくために、ギャップが大きくなってやろうとしてもできない状態になります。

無意識にやってもできないことはわかっているので、言い訳をしてやろうとはしません。

もし仮にやったとしてもわざと手を抜いて「本気じゃなかった」と言い訳します。「本気になれば何でもできるんだ」という理想を崩したくはないからです。

なぜ理想を崩したくないのか?

それは理想の自分を保つことによって自分に価値を見出し、存在意義を感じることができるから。

つまり、大きく大きく肥大化させた理想は自分の存在意義そのものになっているのです。

しかし、裏を返せば本当の自分への自信のなさ、自尊心の低さがあると言えます。

ありのままの自分では存在意義を感じられないからこそ、理想という根拠なき幻想にこだわって何もできない状態になっているのです。

幼児的万能感を抱くのと夢を持つのは違う

幼児的万能感はダメだという話をしてきましたが、勘違いして欲しくないのは夢と混同することです。

私は幼児的万能感と夢は対極にあると思っています。

夢を持つのは大切なことであり、将来サッカー選手になるとか、アーティストになるとか、アイドルになるとか、社長になるとか、医者になるとか、教師になるとか、そういうのは持ち続けて欲しいのです。

ただ、何も努力せずになれると根拠なく思い込むのはやめてください。絶対になれるわけがありませんし、人間としての成長もストップしてしまいます。

根拠のない自信家タイプの場合は、夢が破れて不能感を味わうことを恐れているため、本音のところでは夢を実現させるつもりがありません。このタイプは夢のままの状態を心地よく感じて、現実の社会に下りてこないのです。

引用元:【2】根拠のない自信家タイプ「でも、面倒なことをするのは嫌だ!」、2009、PRESIDENTオンライン

どうすれば夢が叶うのか、しっかりとイメージを膨らませながら、叶えるための努力を惜しまずに続けてください。

止められても絶対にやめたくないほどの夢なら叶うかもしれません。

幼児的万能感によって理想にしがみついて何もできなくなっている人を減らし、夢に向かって努力していく人を一人でも増やせるようサポートしていきたいと思っております。