真顔の外国人女性

人と話しているときに顔がひきつってしまう表情恐怖症。

家族に対してだけ症状が出ないけど、友達含め他の人たちには症状が出る人が多いです。

顔がひきつる状態が続けば続くほど自分の表情が気になってくる。「またひきつるんじゃないか」と思うことで、余計に顔が引きつってしまう悪循環。

自分の表情ばかり気にして過ごすのは本当にしんどいですよね。

表情恐怖症は確信型の対人恐怖症に分類されるため、簡単ではありませんがカウンセリングを継続していくことで克服できます。

表情恐怖症とは?

表情恐怖症とは、自分の表情が相手に不快な思いをさせてしまうのではないかと過剰に意識して顔が引きつる症状です。

面と向かって人と話すとき、みんなが集まっている場所に行ったとき。人によっては道を歩いているときや電車に乗っているときでも表情を意識して引きつってしまう。

人間の表情は本来、嬉しいとか悲しいといった感情に基づいて自然と変わるものですが、それを無理やりコントロールしようとすることで緊張が生まれています。

緊張するはずがない場面での引きつった表情が相手に違和感を与える。相手の反応を見てさらに「自分の表情がおかしいせいだ」と紐付けてまた無理やり表情をコントロールしようとする。

この悪循環によって症状をどんどん悪化させていくのが特徴です。

加害者意識による罪悪感

自分の表情がこわばることで相手に嫌な思いをさせているのではないか。せっかくの和やかな雰囲気を自分の引きつった笑顔でぶち壊してしまうんじゃないか。

表情恐怖症で悩んでいる人は自分の表情が何かしら他人に迷惑を掛けることを恐れています。

加害者意識は,表情・態度恐怖者と自己視線恐怖者において強く意識されるのが常である。彼らは自己のこわばった不自然な表情・態度あるいは自己の異様に強い視線が周囲の人びとに居心地の悪い思いや射すくめるような威圧感を与えていることに罪悪感をもっており,したがって劣等感と罪悪感という二重の悩みを訴えることがある。

引用元:対人恐怖症、2000、富山大学保健管理センター

実際は表情というよりコミュニケーションに問題があり、ものすごく受身で自分のことを全然話さない人が多い。他人のことに関心がないから相手も興味を持ってくれず会話が弾まない。

「嫌われているんじゃないか」という不安を「自分の表情のせいだ」と結び付けるから加害性を信じ込むわけです。

ありのままの自分を受け入れてもらえない不安が根底にある

人と話すときに顔がひきつるようになった人は、過去の経験からありのままの自分が受け入れられない不安を感じています。

  • 親の言うことを聞く「いい子」のときしか認めてもらえなかった
  • 自分では普通の表情だったのに友達から怖いと言われた
  • 仲良しグループだったのになぜか自分だけ仲間外れにされた

だから、常に受け入れてもらえる自分になろうと無理をしています。

みんなに好かれるように、嫌われないように。

そのためには「完璧な人間じゃないといけない」と、自分にものすごいプレッシャーをかけている人もいるくらいです。

顔がひきつる前まで社交的だった人は、自覚がないまま無理をしていた人がほとんど。

不安だったから表面上は明るく楽しく、みんなに好かれる自分を作っていたわけです。

表情へのとらわれが生み出す問題

まともに会話ができなくなる

表情恐怖症で悩んでいる人は「自分の表情が相手にどう見られているか」に頭の中が支配されています。

道を歩いているときでも常に表情を気にしている人もいるくらいですからね。

カウンセリングを受けても会話の内容が入らない人が多く、聞いているようで聞いていない状態になっています。

相手の話が聞けていないまま返事をするから、話が深まるはずもなく当たり障りのないことを言って凌ぐだけになる。

相手からすれば自分の話に興味がないのか、自分のことを嫌っているのかとしか思えません。

結果的に相手が話しかけてくれなくなったりするのですが、自分の態度ではなく表情に原因があると結び付けることで余計に会話しづらくなっていきます。

感情が動かなくなる

表情のことばかり気にしていると、つらさやしんどさばかりで鬱々としてきます。

でも、人とかかわるときに暗い表情は見せられないから、ネガティブな感情を抑え込んで無理やり作る。

面白くないのに笑う、楽しめないのに笑顔で話す…

作った表情だからぎこちなさを感じて、相手にも不快感を与えているとしか思えない。

蓄積されるネガティブな感情を抑え続けることで感情の動きがなくなっていくのです。

「自分がどうしたいか」がわからなくなる

とくにやりたいことはなく好き、興味関心もなくなっている。何かに熱中することもない。

ゲームをしたり動画を見たりするのもやりたいわけではなく。

だから、人付き合いにおいて好きでもない相手にまで好かれたいと思ってしまう。

赤の他人に対しても表情を気にするのは、自分がどういう人とかかわりたいか、人付き合いをどうしたいかが明確ではないからです。

好きだからしたい、嫌だからやりたくないという意志が出てこないから自発性がなく受身になっています。

表情恐怖症を克服するためにカウンセリングでおこなうこと

表情に関する認知を修正する

表情恐怖症で悩んでいる人は、真顔でいることや嫌な顔をすることに不安を感じます。

何かしら良い表情をしていないと嫌われると思っているからです。

とくに笑顔に執着している人は多いですが、あまり笑顔が得意じゃない人、ニコニコしていない人もいます。

基本的に無表情ではたから見ると少し怖い感じ、でも、話してみると時々笑ったりもする。

誰しも多少なり無理して笑うときはあったりしますが常ではありません。

表情に対する認知の歪みによって表情へのとらわれが強化されているため、カウンセリングでは「良い表情でなくても嫌われることはないんだ」という感覚に修正していきます。

気持ちを言語化できるようにする

表情ばかり気になってしまう人は、感情を言葉にするのが苦手です。

気持ちを言葉にできないから溜め込む、ネタがなくて話せない状態になってしまう。だから、人との距離感が縮まらず当たり障りのない関係にしかなれない。

波風立てず衝突を避けられるというメリットはあっても、お互いに腹の探り合いをするような感覚で気が休まらないんですよね。

カウンセリングでは少しずつ自分の感情を言葉にしていくのですが、日々の出来事ではあまり感情が動いていないので、過去のエピソードから話していきます。

頭の中がネガティブな感情ばかりで話せることがない状態であれば、ネガティブな感情の捉え方を変えたり、ポジティブな要素に目を向ける習慣をつけたりしていく働きかけもおこないます。

ありのままの自分を受け入れていく

根底にある不安が強ければどうしても顔がひきつってしまうので、等身大の自分でもいいと思えるようになることが必要です。

そのためには自分が自分のことを好きになる、とまでいかなくても、「こんな自分でもいいかな」と思えるようにしていく。

自分を受け入れてもらえるかどうかばかり気にしてきた人は、他人の目を通しての自分しか見ていません。

つまり、自分の目で自分を見ていないのです。

まずは自分の目で自分を見て知っていくことを少しずつカウンセリングでおこなっていきます。

自分を知ることによって自分に愛着が持てるようになり、ありのままを受け入れられるようになっていく。

他人に受け入れてもらおうと無理をすることがなくなるので、顔がひきつることなく自然な表情で話せるようになるのです。

「表情が気になる<やりたいからやる」へ

カウンセリングで自分にとって大切なことを取り戻すと、不安や恐怖を乗り越えるエネルギーが湧いてきます。

「表情が気になってできない」「表情が気になるからこうする」が「自分がやりたいから表情が気になってもやる」に変わっていく。

自分が満たされることが増えれば増えるほど、心が充実して表情も豊かになります。やりたいことができない日々を重ねても不満しか溜まりません。

不満を抱え込んだ状態で無理やり表情を作るのではなく、不満を解消してあげることが大切なのです。

表情恐怖症で悩んでいる人は、表情が乏しく、会話が続かない傾向が見られるため、感情の解放とコミュニケーション方法の具体的なアドバイスを中心におこなっております。

自分の表情がどうかばかりにとらわれ、苦しんでいるのであればいつでもご相談ください。

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