カウンセリングは心理学の知識や臨床経験等をもとにカウンセラーが「今抱えている問題をどうすれば解決できるか」を一緒に考えてくれるものです。

病院に行って処方された薬を飲めば治るのと同じように、症状を伝えたらあの手この手を使って治してもらえるイメージを抱く人もいますが、カウンセリングは治してもらうものではありません

カウンセラーからのサポートを受けながら自分で問題を解決していく形になります。

カウンセリングはどういうものなのか?

カウンセリングと日常会話の違い

カウンセリングでは耳と目と心を傾けて話を聴く「傾聴」が基本となります。

日常の会話で「最近、落ち込むことが多くって…」と話すと「誰でも落ち込むことはあるよ。前向いて行こう」みたいな形で励まされたり、「いつも頑張ってるもんね、ほんとよく頑張ってるよ」と慰められたり、「そんなこと誰も気にしてないって」と否定されたり、「じゃあ、楽しいこと増やせばいいじゃん」とアドバイスされたりしますよね。

傾聴での応答は「落ち込むことが多くてつらいんですね」としっかり気持ちを受け止める形になるため、自分の気持ちについて考え、自分に興味関心を抱くようになっていきます。

また、カウンセラーからの客観的な意見や質問をもとに自分自身と向き合っていく中で、今まで無意識に目を背けていた本当の問題に気付くことができます。

問題意識が生まれることで意識、思考、行動が変わり、抱えていた問題が根本から解決に向かうのです。

カウンセリングと病院の違い

カウンセリングは話を聴いてもらうこと、病院は薬を処方することが中心となります。

病院でも話は聞いてもらえますが、状態を見極めて適切な種類と量の薬を処方するためであり、さらに一人ずつに取れる時間が限られているためじっくり話を聞いてもらうことはなかなかできません。

カウンセリングでは事前に60分ないし90分の時間を確保した上で話をお聴きしていきます。

じっくり話を聴いてもらうことはできるのですが、病院と提携しているところ以外では薬を処方してもらえないため、今すぐ少しでも症状を緩和したいという方には向きません。

うつがひどくて何もできない、睡眠や食事が取れない等、明らかに問題が生じている場合は、カウンセリングよりもまずは病院を選択したほうがいいでしょう。

その上で根本的に改善したい場合はカウンセリングを併用していく形となります。

カウンセラーはアドバイスをしない?

「アドバイスはしない、意味がない」と言うカウンセラーもいますが、実際はアドバイスをするカウンセラーの方が多いです。

たしかに「気にするな」「頑張れ」といった安易なアドバイスは意味がないどころか、人によっては苦痛を感じて悪化する危険性もあるでしょう。

ただ、しっかりと現在の状態、今までの経緯等を把握した上で、根拠を持っておこなうアドバイスには効果があります。

生活習慣や考え方、日々の心がけ等を変えることが改善につながるのはもちろん、アドバイスを受けながら目の前の問題を乗り越えていくことも自分自身を成長させてくれるので改善につながります。

自分と向き合っていこうと思っても対処せざるをえない問題があれば、まずその問題を解決するためのアドバイスが必要です。

最初の段階ではどうしても漠然としたアドバイスになりがちですが、カウンセリングを重ねていく中で今のタイミングで何をすればいいかがわかってくるため、的確なアドバイスをおこなうことが可能になっていきます。

カウンセリングによる変化

自分を知ることができる

自分がどういう性質を持っているのか、どういう考え、価値観を持っているのか、過去の出来事でどういう気持ちを抱えていたのか…

わからないままでは「なぜこんな状態になるんだ」と否定的に見てしまうことも、自分を知ることで「自分はこういう性質を持っているからこうなるんだな」と納得して受け入れることができるようになります。

例えば、自分が発達障害HSPを抱えていることを知れば、日々の上手くいかないことに対しても肯定的に見られるようになるわけです。

そして、性質だから変わらないものであり、変えようとするのではなく「どう付き合っていくか」を考えるようになる。

変えられないものを変えようとすることが今の悩みを生み出す原因にもなっていますので、少しずつカウンセリングで自分のことを話して自分を知っていくことが大切なのです。

安心感を培い自己肯定感が高まる

カウンセリングを受ける毎に必ず大きな気付きが得られるわけではありませんが、自分のことを話して「ああでもない、こうでもない」と葛藤することも改善につながる大切な過程です。

また、カウンセラーという一人の人間との関わりの中でありのままの自分を表現して受け入れてもらえる安心感もカウンセリングの意義として大きいのではないかと感じています。

家族や世間一般に認めてもらえないような話をしても否定されることはなく、自由に自分が思っていることや感じていることを話すことで自分軸を取り戻し自己肯定感を高めていくことができるからです。

話をすることで混乱している頭の中がスッキリと整理されて自分で解決策が見えてくるケースもありますので、まずはじっくりお話を聴かせていただくことも大切だと思っております。

心理的に成長することができる

今抱えている問題と向き合って解決していくことになりますので、精神的な面で人として成長することができます。

成長することによって新たな問題が出てきても自分で解決できる力がつく。

「自分がどう思っているか、どう感じているか、どうしたいか」を自覚できるようになり、人とのかかわりにおいて上手く自分を表現して関係を築けるようになる。

自分の良い面も悪い面も自覚して認めることができるようになる。

自分の気持ちをコントロールして目標や目的に向かって行動を継続させることができるようになる。

目先の不安や恐怖、欲求に惑わされず自分や周りをよりよくしていくために先のことを考えて自発的に行動を起こせるようになる。

カウンセリングを受け始めた当初はアドバイスに従って行動を起こすだけになりますが、少しずつ自分で考えて自分で行動できるようになっていきます。

カウンセリングに継続が必要な理由

最近は1回のカウンセリングで「今までなぜ改善できなかったのか」に気付かれる方も増えてきていますが、気付いたから改善できるかというと、そう簡単なものではありません。

なぜなら、今の問題を生み出している原因が習慣として根付いているからです。

  • 相手の顔色を伺って相手に合わせる習慣
  • トラブルを恐れて思ったことを言わずに溜め込む習慣
  • 人に頼らず何でも自分で頑張って解決しようとする習慣
  • 少しでも上手くいかないと全部を台無しにしてしまう習慣
  • 他人のことばかり考えて自分のことを振り返らない習慣

こういった習慣が何年、何十年の中で無意識に根付いてるために、カウンセリングを受けて改善できる方向に軌道修正されたとしても、また何かふとしたキッカケですぐ元の状態に戻ってしまうのです。

それでも元の状態に戻ろうとしていることに自分で気付ければ軌道修正できるのですが、根付いている習慣が無意識であるため自分では気付けません。

だから、定期的にカウンセリングを受けて軌道修正を繰り返すことがどうしても必要となるのです。

初回のカウンセリングですっきりして改善の方向性が見えると「もう大丈夫なんじゃないか」と思ってしまいがちですが、そう考えてしまうこと自体も今の問題を作り出している要因なので気を付けていただければと思います。

カウンセリングの経過と卒業

まず初回は「インテーク面談」と呼ばれ、現在の状況や悩みが生まれた経緯を詳しくお聴きすることからになります。

二回目以降は前回からの日々で思っていたことや考えていたこと、人によっては過去の親子関係等についてお聴きすることが多いです。

カウンセリングで自分と向き合うことを繰り返すうちに無自覚だった問題に気付いていきます。

今まで気付いていなかったことが見えてくると日々の思考や感情、身体感覚に変化が出てくる。人によっては今までと違った世界に見えるくらいの感覚になり、変化を実感できることで「改善できるかも」と思えてきます。

カウンセラーからの質問がないと話せなかったのが、自発的に話したいことを話すようになります。自分に興味を持ち、他人にも意識を向くことで話したいことが出てきやすくなるからです。

人間関係の問題が改善に向かい、過去よりも現在、未来に焦点が当たるようになっていく。

自分なりの目標や目的を見いだす人もいれば、ないままの人もいますが、どちらにしても日々の生活が充実してくることでカウンセリングの重要性が下がって卒業へと向かいます。

カウンセリング予約フォーム

対人恐怖症・依存症専門カウンセリング(大阪)