弱みを見せられない人は、弱音を吐くことなく甘えることも頼ることもできないまま抱え込んでいます。
弱みを見せて人に迷惑をかけるくらいなら自分が我慢したほうがいいと思ってしまう。強い自分でなければいけない気がする。
本当はしんどくて仕方ないのに平気な様子でいるから、周りの人に気付いてもらうこともできません。
弱みを見せられず自分一人で何とかしないといけない状態はものすごくつらいですよね。
なぜ限界を超えるほどのつらさを抱えていても弱みを見せられないのでしょうか?
人に弱みを見せられなくなった原因
甘えることが許されなかった親子関係
赤ちゃんの頃は誰しも弱みを見せていました。自分ができないことは泣いたりして親にやってもらうのが当たり前だったわけです。
それが妹や弟ができて親に甘えられなくなったり、親に心配をかけないようにと考えるようになったり…
親子関係の中で弱みが見せられなくなった、甘えられなくなったのは影響しています。
私自身も幼少期から長男としての役割を強いられ、弱音を吐くことが許されない環境で育ちました。
弱みを見せない自分なら受け入れてもらえる。でも、弱みを見せる自分は受け入れてもらえない。
人に何かお願いをしないといけないとき、迷惑が掛かるのではないか、嫌われるのではないかと気にしすぎるのは、親子関係が原点になっているのです。
親の接し方や家庭環境が子供にどれだけの影響を与えるかをご説明しています。
自尊心の低さ
弱みを見せられない、頑なになる、常に格好をつけてしまうのは自尊心が低いから。
自分の理想(イメージ)にすがり付き、何とか自尊心を保っている状態なのです。
弱さを認めると自分の価値がなくなってしまうような感覚になっているため、「こうあるべき」に縛られて自分の弱さから目を背け続けています。
- ポジティブであるべき
- 良い人であるべき
- 期待されたら応えるべき
- 途中で投げ出さず続けるべき
- 常に向上心を持って努力すべき
弱みを見せたくても見せられない状態になっているんですよね。
「頑固だね」「プライド高いよね」と言われた経験がある人は以下の記事も参考にしてみてください。
頑固でプライドが高い性格と対人恐怖症の関連性、そして自分を変えていくためにどうすればいいかをお伝えしています。
人に弱みを見せられないことで起こる問題
心が休まらず常にしんどい
弱みを見せられない人は心を休めることができません。
「あー、もう無理だ」「もう全部投げ出したい」「もうしんどい」
人は弱みを口に出したり、ため息をついたりすることで心を休めているところがあります。
一度力を抜くからまた頑張ろうと思えるわけですが、弱みを見せられない人は力が抜けないまま。
本当はしんどくて仕方ないのに耐え続ける状態になっているわけです。
常に頑張り続けてきたことで感覚が麻痺、しんどさや疲れに鈍感であるがゆえ耐えることができています。
深い呼吸ができない、睡眠が浅くて疲れが取れない、胃腸の調子が悪くなりやすい等、身体面に問題が発生している人は少なくありません。
過剰適応による適応障害、うつ状態、慢性疲労症候群に該当するケースもよくあります。
人の目が気になる
弱みを見せられない人は「弱みを知られたらどうしよう」と恐れています。
だから、頼りがいのある人に見せようとしたり、悩みがないことをアピールしたりするのですが、やればやるほど本当の自分とかけ離れていく。
本当の自分を隠して偽ることになるわけです。
人間は「隠すこと=重要なこと」と認識するため、弱みを知られてはいけない意識はより強化され、周りの目にものすごく敏感になります。
ひた隠しにしている弱みは絶対に言わないので、言ったら相手がどういう反応をするかわからない。言ってみたら意外と大丈夫かもしれないのに、自分の中で弱みが大変なことになっているから大丈夫と思えません。
どんどん勝手な決めつけを強化して、さらに人目が気になる悪循環になってしまうわけです。
人の視線が怖いと感じる他者視線恐怖症の改善方法をお伝えしています。
人との関係を深めることができない
弱音を吐かない、相談しない、自分で解決する。弱みを見せないから助けようとしてくれる人もなかなか出てきません。逆に頼られて余計にしんどくなっていくだけ。
これだけでも十分問題と言えますが、さらに人との関係が深まらない問題まで出てきてしまうのです。
人は信頼関係を築いていく上でお互いに適度な自己開示をしています。
当然自分の悩みを打ち明けたり相談したりはつきものなのに、相手の相談に乗ることはあっても自分の相談は一切しない、まったく悩んだ話をしないとなればどうなるでしょう?
相談役として頼られることはあっても、本当に心が触れ合う関係にはなれませんよね。
弱みを見せられない人は、良い人、すごい人と思われることはあっても、どこか距離を感じる寂しい関係しか築けないのです。
弱さを受け入れてさらけ出せるようになるために
まずは自分の弱さと向き合うことから
弱みを見せられない人は自分の弱さと向き合わずに生活しています。
- 本当は休ませてほしいと思っていること
- 無責任に全部投げ出してリセットしたい気持ち
- 期待して求めてこられるのがしんどく感じること
- ちょっとしたことでイライラしてしまうこと
- 他人の悪いところばかり見つけて不満を抱くこと
表面上は穏やかだったりニコニコしていたりするけど、内面にはネガティブな感情や疲れが溜まりきっています。
しかし、弱さを実感すれば耐え切れなくなることを無意識レベルで感じ取っているから自覚したくてもできません。
自分の弱さと向き合っていくために、まずは弱さを実感しても大丈夫な状態になることが必要です。
カウンセリングでは身体感覚や過去の体験、イメージ等を活用して安心感を養うところから始めていきます。
弱さと向き合うことで生じる葛藤を乗り越えていく
自分の弱さと向き合うと葛藤が生まれます。
「弱さはあってもいい、あって当然だ」と頭で理解しても、「弱さはあってはならない」という強い反発が出てくる。自分の弱さを認めることができないのです。
今まで自分の弱みから目を背けてきた人ほど葛藤が大きくなります。
本音では甘えたいし誰かを頼りたいし助けて欲しい。でも、弱みを見せたら拒絶される、自分の中に弱さがあることが許せない。
「弱さ=悪」のような感覚が強く、あってはならないと思ってしまうんですよね。
「自分の弱さになぜここまで抵抗があるのか」をカウンセリングで話し合い、「弱さがあるからこそ自分なんだ」と認めることができるまで一緒に葛藤していきます。
カウンセラーに頼ることで弱みがさらけ出せる
カウンセリングで話していく中で、自分がどれだけ無理をしているのか、本当は耐え切れないほどの状態であることが実感できてきます。
それでも、弱みを出すことが許されない感覚は強く、なかなか人に頼ったりすることはできません。
どうしてもブレーキがかかってしまうところは、カウンセラーからの働きかけで外していきます。
まずはカウンセラーに少しずつ弱みをさらけ出し、受け止めてもらう経験をしていくことが大切です。
カウンセラーとの関係性の中で「弱みを出しても大丈夫」という安心感が生まれることで、他人との関係においても自分の弱さを出せるようになっていきます。
人に弱みを見せられず常に肩の力が抜けない、しんどいのに自分ではどうにもならないとお困りでしたらカウンセリングを受けてみてください。