脇見恐怖症の発症時期は中学~高校時代が多く、学校に通うのが困難になっています。
学校に行くのがやっとの状態で帰ったら疲れ果てて動けなくなる。
何とか頑張って行こうとするも、限界に達して不登校になる人は多いです。
本記事では学校生活において脇見恐怖症が及ぼす影響、どうすれば乗り切って行けるのかをお伝えしていきます。
脇見恐怖症が引き起こす学校での問題
深刻な学力低下
学校の授業はたいてい全員が前を向いて先生の話を聞き、黒板に書かれた内容をノートに書き写す形式です。
しかし、脇見恐怖症になると視界に人を入れて迷惑をかけてしまう感覚になるので黒板を見ることができません。
顔を上げるタイミングも図り切れず、最終的には寝たフリで机に伏せる。
授業を受ける態度が悪く見えるだけでなく、ノートが取れないことで大事なところが抜けてしまう。
そもそも授業を受けるどころの状態ではないので、内容がほとんど頭に入ってこないのもあります。
進学校に入っていたり、受験を控えていたりすると、下がり続ける成績に絶望感しかありません。
クラスメイトに嫌われる
隣の席の子を意識しすぎるから視界に入れて迷惑をかけてしまう。
黒板を見ようとしていただけなのに、なぜか斜め前の席の子が反応する。
自分に背を向けたり視線を遮るように手で隠されたり、「見てきてキモい」と言われたりして落ち込む。
どんどん噂が広まってクラス全員から陰口を言われるようになってしまう。
脇見していたのを好きだと勘違いされ、クラスで噂になって冷やかされる人もいます。
人に嫌われることなんてしたくないし、むしろ嫌われないように気を遣っているはずなのに…
周りに理解してもらえず、勘違いで嫌われてしまうことに苦しむのです。
脇見恐怖症でも学校に通えようにするための対処法
事情を伝えて学校側に配慮してもらう
脇見恐怖症の人は周りに勘違いされ続け、傷つけられる経験ばかりで人間不信になっています。
だから、一人で抱え込んで何とかしようとするのですが、そうすることで余計につらい状態になっています。
学校でのつらさを緩和するためには、周りにサポートをお願いする必要があるのです。
まずは親に脇見恐怖症の悩みを伝える。
親が理解してくれると思えないならスクールカウンセラーでも構いません。
そして、学校側への配慮を頼んでもらいます。
担任の先生が信頼できそうなら直接相談してみるでも大丈夫です。
脇見が出づらい席にしてもらったり、テストを別室で受けさせてもらったり、保健室登校にしてもらったり…
脇見恐怖症で悩んでいることを知られたくない、言っても理解してもらえると思えない、配慮してもらって注目されるのが嫌等、抵抗はあると思いますが一つの手段として頭に入れておいてください。
病院もしくはカウンセリングルームに行く
病院の診療は健康保険証とお金が必要なので、基本的には親に連れて行ってもらう形になります。
心療内科(精神科)で診察を受けると、緊張を和らげる薬を出してくれるところがほとんどです。
薬を飲めば絶対に楽になるとは言い切れませんが、人によって効果がある可能性もあります。
もう一つの手段としてはカウンセリングを受けること。
スクールカウンセラーであれば自分だけで行けますが、民間のカウンセリングルームは有料なので親に連れて行ってもらう形になります。
カウンセリングでは脇見恐怖症のつらさを話して共感してもらったり、楽になる考え方を教えてもらったり、克服するためのアドバイスがもらえたり。
カウンセラーによってどこまでしてもらえるか差はありますが、基本的に話は聞いてもらえます。
通信制高校に転入する
親や学校の先生と話し合って決める必要はありますが、通信制高校への転入も一つの方法です。
通信制高校であれば毎日学校に通う必要はなく、家で課題をこなしてレポートを提出することがメインになります。
学校に行かなくていいなら脇見で苦しむことはありませんよね。
ただ、勉強のレベルがどうしても落ちてしまうこと、金銭的な負担が大きくなること、全日制に通う子と比較して劣等感を抱いてしまうこと等、ネガティブな側面もあります。
しかし、頑張って今の学校に通い続けたところで、勉強が全くできず誰ともかかわれないままでは何も得られません。
脇見恐怖症は自分なりに何か目標や目的が見いだせれば改善しやすいですが、ただ苦痛に耐えるだけの日々では出てこないでしょう。
だから、思い切って環境を変えるのも打開策になりうるのです。
通信制の中学校はないため、出席扱いになるかどうかを確認した上でフリースクールに通う等の手段を取ることになります。
脇見恐怖症で悩むあなたに知っておいて欲しいこと
脇見恐怖症のことばかり調べるのは逆効果
今はGoogle検索やSNSでいくらでも脇見恐怖症に関して調べることができます。
しかし、調べれば調べるほどに症状へのこだわりが強くなるだけでなく、間違った情報で悪化していくことも多々あります。
なぜなら、人は深い悩みに陥ったとき、極端に視野が狭くなり、客観的に考える力を失ってしまうからです。
思春期は精神面でも発達途上なので、そもそも客観的に見る力も備わってはいません。
その状態で吸収しようとする情報は、正しい情報であっても間違った解釈をしがちになりますので、調べること自体悪化していくことにしかつながらないのです。
もし、毎日のように脇見恐怖症に関する情報ばかり調べているのであればなるべくやめましょう。
症状は本当の自分を抑え込んだ結果である
学校では目立たない見た目にしたり、当たり障りのない接し方ばかりすることによって、自分の本当の姿を見せないようにしています。
確かに、本当の自分を隠すことで表面上は何とかなっているのかもしれませんが、続ければ続けるほど本当の自分が出せなくなって症状は悪化していきます。
自分を苦しめる症状は、抑え込んだ本当の自分が出しているSOSのサインです。
「相手からどう見られるか、どう思われるか」ばかり考えて、本来自然に出るはずの笑顔を抑え込んだり、面白くもないのに笑おうとしたり、ムカつくのに笑顔で受け流したり…
やればやるほど自分の感情は抑え込まれ、ストレスを生み出し、脳の働きや自律神経に異常をきたした結果出ているのが今の症状なのです。
本当の自分に気付き行動していくことが克服へとつながる
脇見恐怖症を克服するためには、まず自分自身と向き合って、抑え込んでいる本当の自分に気付くことが必要です。
具体的に何をすればいいかというと、普段の生活で自分がどう思っているのか、どう考えているのか、どうしたいのか、何をしたくないのかを日記をつけるなりして振り返りながら、カウンセリングで話すことになります。
カウンセリングで自分のことを話していく中で、自分がどう思うか、どう感じるかという自分の本音に気付けるようになっていくのです。
そして、本音に気付けるようになってくれば、その本音に従って素直に行動します。
- 自分がやりたいと思うことはやる
- 自分がやりたくないなら断る
- 親に甘えたいなら甘える
- 話したいことがあるなら話す
- 泣きたいなら泣く
できる範囲から少しずつ取り組んでいくことによって、本当の自分を成長させていくことができるのです。
脇見恐怖症を打ち破れるのは成長した本当の自分
人と接する場面で症状が気になってできないことは多々あると思いますが、本当の自分が成長して「自分はこうしたいんだ」という自分基準の考えが強くなればなるほどできるようになっていきます。
人間はどんな困難が立ちふさがっても心の奥底からやりたいと思うことをやり遂げる力を持っているからです。
つまり、今ひた隠しにしている本当の自分を成長させて、「相手がどう思うか<自分がどうしたいか」の状態になったときに、脇見恐怖症は克服できたと言えるのです。
人がどう思うか、どう考えるかばかり意識して見失った本当の自分を取り戻すのは簡単ではありませんが、自分と向き合うことを諦めない限り克服することはできます。
最後に
脇見恐怖症の克服は感覚的なものであり、勉強のように頭で理解するものではありません。
頭で考えるのではなく、自分の感情や感覚にしっかりと目を向けて、心を成長させていくイメージを持っていただければと思います。