「じっと目を見続けるのもおかしいし、全然目を見ないのもおかしいし…」と不自然にならないよう視線をコントロールする。
どれだけ頑張ってみても意識している以上どうしても不自然になってしまう。
視線を意識しすぎてどこを見ていいかわからなくなるほどの状態になる人もいます。
- 食事に誘われても対面になりそうなら断る
- 友達とカフェに行くにしてもカウンター席を選ぶ
- テーブル席でも斜め向かいか隣同士で座る
そもそも日本人は恥ずかしがりで目を合わせるのが苦手と言われますが、対面で話す機会を必死に避けるレベルになれば話は別。
相手の目を見て話せない症状は、視線恐怖症の一種である正視恐怖症に該当します。
目を合わせられなくなってしまう原因
目の前にいる相手を観察しすぎている
面と向かって話しているときでも、視界に入るものについて話すとき以外はたいていイメージに意識が向いています。
例えば、思い出話で盛り上がっている場面を想像してみてください。
当時の場面をイメージの中で共有して、盛り上がるにつれてまるでタイムスリップしたかのような感覚になる。
実際は目の前にいる相手を見ながら話しているけど、頭の中にイメージされた過去の旅行先を見ていたりするわけです。
夢中になる度合いが強ければ相手の細かい表情の変化や仕草に気付かなくなる可能性だってあります。
目の前の相手を見ているようで見ていない状態になるわけです。
話に夢中で相手が明らかに帰りたがっている様子でも気付かない人だっていますよね。
逆に視線を意識している人は相手の様子をよく観察しています。だから、話に集中できずイメージが湧かない。
面と向かって話している相手にほぼ100%意識を向けているから目を合わせるのがしんどいのです。
視線耐性が低くなっている
コミュニケーション手段としてメールが普及しだした頃、職場で隣に座ってるにもかかわらず口頭ではなくメールでやり取りすることが話題になりました。
今はさらにLINEなどのメッセージアプリも普及して、どんどん対面で話す機会が減ってきています。
直接会わないからこそ自分を偽って良く見せることができる。匿名だから強気な発言ができる。
でも、実際に面と向かって話すとなれば、現実の自分と直面して上手くいかない。
たとえば、デジタル依存度が低く、対人経験が豊富、リアルでの自分に自信を持っている方は視線耐性が高い傾向にあります。他方、デジタル依存しており、人ともあまり接せず、リアルでの自分に自信が持てない方は、視線耐性が低い傾向にあると言えるでしょう。
面と向かって人と話す機会が減ったことで視線耐性が下がり、目を合わせて話すのが苦手になっているのです。
視線耐性が低いのは現代病のようなところもありますので、「目を合わせるのが苦手だから自分はおかしい」と極端に捉えないようにしましょう。
「目を見て話さないといけない」という固定観念
私たちは小さい頃から相手の目を見て話すことが大事だと教わってきました。
親や先生から「ちゃんと目を見て話しましょう」「〇〇ちゃんは目を見て話すから賢いね」等といった感じで、目を見て話すことが正しいことのように教えられて育っています。
実は親や先生が子供の本音を知るために植え付けたものでもあるんですけどね。
「目を見て話せ」という常套句は、あなたのために使われるのではなく、あなたの話を聞く自分のために発せられる。
確かに目を見て話した方がいい面はありますが、そもそも日本人は目を見て話すのが苦手です。
恥の文化が根付いている日本では「自己主張せず周りに合わせること」「空気を読んで察すること」が美徳とされているため、目を合わせることで本音がばれるのはまずい。
「目は口ほどに物を言う」という諺があるくらい目というものに敏感なんですよね。
にもかかわらず、相手の目を見ないのは失礼だ等と頑張って目を合わせようとするから肩や首に余計な力が入って緊張状態になる。
緊張によって目つきが鋭くなりやすいため、相手に目を逸らされてしまうこともあるわけです。
自然と相手の目を見て話せるようになるために
相手の目以外に意識を向ける
相手の目を見れない状態になっている人は、目を見るか見ないかばかり考えています。
だから、相手の目を見たときは100%で見る形になってしまうため、まるでロックオンするかのような視線になってしまいます。
相手の目を見るか見ないかに意識が向かず、顔全体、さらに上半身をぼんやり見るような視線が本来の形です。
さらに会話に集中していると、話のイメージに目を向けることになるため、目の前の相手を見ているようで見ていない状態になっています。
改善していくためにはこういった本来の視線の向け方に戻していくことが必要なのです。
視線の焦点は相手の目ではなく、相手の後ろ1〜2mくらい先のところにしてみましょう。
そして、相手が何か話をしてくれたら、どういう場面でどういう状況で…と具体的にイメージすることを心掛けてください。
目を見るか見ないかという二択の状態から抜け出すことで視野が広がり、自然と相手の目を見るかどうかを意識しないようになっていきます。
自分の中にある隠し事をなくしていく
目を合わせられないときの代表例は嘘をついたときです。
相手の目をまっすぐ見つめながら堂々と嘘をつける人なんていませんよね。
やましいことがあるから目を合わせられない。相手の目を見て話すのが怖いと感じてしまうわけです。
誰しも多少なり隠し事はあったりしますが、あまりにも多いと目を合わせることができなくなります。
自分の中にどれだけ隠したいことがあるのか、やましいと思ってることがあるのか。
無意識に目を背けている部分でもあってなかなか難しいですが、少しずつでも知ろうとしていけば相手の目を見て話せるようになっていきます。
自分には隠したいことなんてない、何を隠したいと思っているかわからないといった場合は、カウンセリングを受けながら少しずつ自分自身と向き合えるようになっていくことが必要です。
相手の目を見て話せない状態でお悩みでしたらご相談ください。