自分と向き合うイメージ

「自分と向き合う」というのは言葉で表せば簡単ですが、真剣にやればやるほどこんなにしんどいものかと気付きます。

人は誰しも多少なり自分の中に抱えている問題を見ないようにして生きてますからね。

子供がいるから仕方なく結婚生活を続けている夫婦は、お互いの関係をどうするかという問題から目を背けています。

ゲームに時間を費やしすぎてやるべき勉強ができていない人は、勉強ができていないという問題から目を背けています。

医者から生活習慣を改善する指示が出ているにもかかわらず、今まで通りの生活を続ける人は自分の健康の問題から目を背けています。

稼いだお金を毎月使い果たしている人は、将来必要なお金の問題から目を背けています。

誰しも何かしら目を背けていることがありますので、すべてのことに向き合えている人はいないでしょう。

自分と向き合えなくなっている原因

責任転嫁ばかりしている

責任転嫁によって自分と向き合えなくなるのはよくあることです。

父親:「俺はちゃんと稼いでるし父親としての役割は果たしてる。なのに、あいつは母親として子供の問題も解決してやれない。悪いのはあいつだ。」

母親:「私はこんなにも子供のためにって心身ともクタクタになるまで頑張ってるのに、あの人は仕事にかまけて何もやっちゃくれない。結局私に丸投げして楽してるだけじゃん。」

子:「毎日夫婦喧嘩されちゃ勉強を頑張れないよ。」

それぞれが責任転嫁を繰り返して自分の問題と向き合わない。

自分は悪くない。じゃあ、誰が悪いんだ。あいつだ。

あの人のせいで私はこんなに大変な思いをさせられてるんだ。

家庭環境さえ良ければ私は絶対に上手くやれるのに。

他人を責めれば自分の問題から目をそらすことができます。自分はできているという幻想を傷付けられずに済みます。

逃げられる場所がある

逃げ場があるがために向き合えず、以下のような感じで年齢を重ねるケースはよくあります。

職場で上手く適応できず過ごしていたけど、結婚して仕事をやめたからやり過ごせた。子供が生まれて公園デビューはしたけど他のママと話すのが苦手で家で遊ばせるようにした。幼稚園の送り迎えはあるけど挨拶だけして会話は避けた。子供が小学校に行きだして参観の案内を持って帰ってくるが一人で見ているのはどうしてもしんどいからたまにしか行かない。

幼稚園、小学校、中学と友達ができず、周りに馴染めなかったためついに高校で不登校となる。不登校になってからは家でニコニコ動画を観たり、漫画を読んだりしているがほとんど外には出ない。出なくても親が買ってきてくれるし、ご飯も作ってくれる。高校に行かないといけないのはわかるけどあんなに嫌な思いをするところにわざわざ行きたくはない。今のままでも生活はできているから。

大学も卒業に近づいてきたためみんな就職活動を始めている。でも、自分は就職して上手く社会に適応できる自信がない。たぶんもっと勉強して資格を持てば気持ちも変わるはずだから専門学校に行くことに決めた。専門学校で資格を取ったけど就職に対する不安は拭えないままだから、違う専門学校で勉強をしている。

ときには必要に応じて「逃げる」という選択も必要ですが、いつまでも直面する目の前の問題から逃げていては何も変わりません。

逃げ場がある人ほど目の前の問題に向き合わないのです。

向き合わずに問題を放置していては悪化する

私自身もずっと脊柱側彎症をごまかしながら放置していた時期があります。

その影響で食べても全然体重が増えなかったり、すごく疲れやすかったり、肩甲骨の辺りの神経が圧迫されて激痛が走ったりというのが続き、どんどん悪化している状態でした。

当時は「今生活できているからいいや」という気持ちが強かったように思います。

でも、放置してきたことで悪化していますし、さらにそのまま放置していれば、背骨の歪みなので老後は間違いなく大変な思いをすることになったはずです。

ごまかして目を背けていると一時的にそのつらさ、苦しさから解放されるので、気持ちは楽になります。

しかし、現実は何も変わらないまま。

私のケースのようにどんどん悪化していくことがほとんどです。

これは身体の問題だけでなく人間関係、仕事、お金等の問題にも共通しています。

ごまかさず自分の問題と向き合っていくために

まずは頭の中を整理することから

今抱えている問題と向き合うにあたって頭の中を整理することは非常に大切です。

なぜなら、頭の中がグチャグチャな状態では冷静に考えることができず、明らかにおかしな矛盾があったとしても気づけなくなってしまうからです。

その状態でいくら頑張っても向き合えているようで向き合えていない状態になります。

カウンセリングもそのためにあると言える部分があり、アドバイスを受けなくてもカウンセラーに話している中で頭の中が整理されて自己解決されるケースもあるくらいです。

カウンセラーは頭の中を整理してもらいやすい話の聴き方をしています。

とにかく自由に話すだけでも整理はされていくのですが、適切なタイミングで客観的に考える質問をしたり、何を話していたかわからなくなった時に現在地を教えたり、物事を見る角度を変える質問をしたりすることで頭の中が整理されやすくなるんですよね。

誰かに話すことが一番有効ですが、無理なら紙に書き出してみる方法でもかまいません。

頭の中で考えているだけでなく文字にして見える化しましょう。

同じことばっかり考えてるなとか、意外とイライラしているんだなとか、自覚できていなかったことが見えてきたりもします。

今のままで本当に大丈夫かを考えてみる

自分と向き合うことから逃げたくなる気持ちはわかります。誰しも辛い思い、嫌な思いはしたくないですからね。

今何も問題が表面化していないのであれば、向き合う必要がないと考えることもできます。

しかし、問題が起こってから、取り返しがつかないことになってからでは遅いのです。

気付かないうちに問題が大きくなって以下のようなことになる可能性はゼロではありません。

  • 夫婦関係が破綻する
  • 友達が離れていく
  • 家族との関係が修復不能になる
  • 犯罪を犯してしまう
  • 就職(転職)ができない
  • 職場に自分の居場所がなくなる
  • 仕事で大きなミスをしてしまう
  • 大病を患う
  • 老後の生活に困窮する

今この瞬間だけで大丈夫と判断するのではなく、今の状態を続けたときにどうなるのかを考えてみてください。

何がキッカケであれ向き合うことで人生はより良くなっていく

私がカウンセラーをやっていて一番しんどいなと思うのは、自分と向き合わなければならないことです。

夫婦関係、親子関係、家族関係、友達関係、子育て、健康、仕事、お金、性格、将来…

いろいろな問題を抱える方々の話を真剣に聞くと自分の中にも問題があることに嫌でも気付かされますからね。

人によっては気付いてそのままにしておくこともできるのかもしれませんが、私の場合「自分がやっていないことは人には言えない」という感覚があるためそれは絶対にできません。

自分が心に嘘ついて生きている状態で自分の心に正直に生きましょうなんて口が裂けても言えないので。

カウンセリングを受ける方も私と同じように自分と向き合うことになるわけです。

今までちゃんと向き合ってこなかった人ほど向き合うことを嫌がりますが、向き合わない限り今の問題は解決しないので向き合わざるをえない。

それをいつやるかだけの話です。

自分と向き合わずにいろんなことを避けて何とか人生を全うするのもできなくはないと思います。

ただ、それでは本当の意味で自分の人生を生きたとは言えないのではないでしょうか?

自分と向き合うキッカケは対人恐怖やうつ等の症状が出たからというケースもあれば、職場の人間関係でトラブルを起こして辞めさせられたり、離婚届を突きつけられたり、盗撮や痴漢などの犯罪で逮捕されたりといったケースもあり様々です。

キッカケが何であったとしても自分と向き合って本当の問題を解決していけば自分の人生は必ずよりよくなります。

私自身もまだまだ解決できていない問題がありますので、少しずつ一緒に向き合っていきましょう。