人の顔色を窺ってしまう原因からどうすればやめることができるのかをお伝えしていきます。
人の顔色をうかがうしんどさ
家族、先生、クラスメイト、友人、上司、同僚等、常に他人の顔色が気になる。
不機嫌そうな人がいるとソワソワして落ち着かない感覚になり、「自分が何かしてしまったんじゃないか」と思う。
そっとしておいた方がいいと思いつつ、何か対応しないといけないような気がしてくる。
意見を求められたときは周りの空気を読みながら無難に他の人が言っているようなことを言う。
相手が素っ気ない態度だったら「気分を害してしまったかも」「嫌われてしまったんじゃないか」と気に病む。
ちょっとしたミスでも許されない感じがして「怒られるんじゃないか」とビクビクしている。
身体に力が入っている感じで気が休まらない。いつも呼吸が浅い。
人の顔色を窺っていると些細な他人の反応に神経をすり減らすことになるため、普通に生活をしているだけでも疲れ果てるほどのしんどさを抱えてしまうのです。
自信喪失により人の顔色をうかがう度合いは高まっていく
人の顔色を窺っていると相手に合わせてばかりになります。
「自分がどうしたいか」ではなく「相手がどうしたいか」がメインになるため、「自分がどうしたいか」がわからなくなっていきます。
自分のことがわからなくなればなるほど自信を失い、自分で判断することができなくなってしまう。
相手や周りの様子を窺って正解であろう行動をとり続けることで何とかなるものの、自分で何とかしたわけではないので不安は消えません。
常に不安が付きまとう状態で人とかかわる場面になると顔色を窺って合わせ続けることしかできない。
繰り返せば繰り返すほど自分を見失い、自信を失ってしまうので顔色を窺う度合いは高まっていくのです。
どうすれば自信が持てるようになるのか?大切な前提から具体的な方法をお伝えしています。
人の顔色をうかがう心理
人に嫌われるのが怖い
人の顔色を窺って相手に合わせるのは嫌われたくない心理が働いています。
相手の気分を害さないように、嫌な思いをさせないようにと気を付けていれば嫌われずに済むと思うからです。
嫌われないことを目的に人と接していると、相手が上、自分がしたという関係性になり、対等な関係を築くことができません。
相手が他の人とかかわる様子を見て、自分だけどこか軽視されているような気がしてきてさらに怖くなる。
怖いから余計に顔色を窺うようになってしまい、どんどん自分が不利な関係性になって苦しむパターンがあります。
自分のことが嫌いな人は「誰にも嫌われたくない」という気持ちになるため、嫌われないように人の顔色をうかがって接する状態になりやすいです。
アドラー心理学の本「嫌われる勇気」の大ヒットで注目を集めた嫌われ恐怖症とは何か~原因、克服方法までお伝えしています。
怒られるのを避けたい
怒られて自分が嫌な思いをしたくないという心理も顔色を窺うことにつながります。
暴力を振るってくる親と子供、パワハラをしてくる上司と部下といった関係性を想像していただくとわかりやすのではないでしょうか。
対応に気を付けなければいけない相手であれば顔色を窺わざるをえないところはあります。
しかし、怒り出す危険性がなさそうな相手にまで顔色を窺うのは過剰です。
過去の親子関係等で怒られ続けた経験がトラウマとなり、また同じように怒られることを避けたいという気持ちが強くある人は誰に対しても顔色を窺う状態になります。
上司の顔色を窺いすぎて聞くべきことが聞けず上司に怒られる等、怒られないためにやったはずが逆に怒られてしまったというケースは少なくありません。
波風を立てたくない
事を荒立てずに丸く収めたい、争いごとを避けたいという心理から顔色を窺うことがあります。
面倒なことに巻き込まれないために顔色を窺うわけです。
機嫌が悪くてイライラしてそうな人に気付いたら距離を取ることができる。
同じコミュニティの人同士に不穏な空気が流れたときは対処してトラブルを防ぎやすい。
トラブルに発展したとしても双方の気持ちを読み取って仲裁に入ることで被害を最小限にできる。
平穏無事に過ごしたい気持ちが強い人は顔色を窺うようになりやすいのです。
なぜ人の顔色をうかがってしまうのか?
他人の変化に気付きやすい性質
人の顔色を窺う人は敏感さ、繊細さを持っていることが多いです。
相手の感情の機微や変化に気付きやすい優れた特性があると言えます。
そもそも鈍感であれば顔色を窺うことができませんからね。
HSP等、他人の感情の変化を敏感に察知する力を持っている人は顔色を窺う状態になりやすいところがあります。
「繊細さん」と呼ばれるHSPについて。特徴や似通った症状、生きづらさを解消するポイント、カウンセリングの内容をお伝えしています。
親の顔色をうかがってきた幼少期
親が不機嫌になったら察知して手伝いをしていた。
家族間で喧嘩があって気まずい雰囲気になったら和ませる役割を果たしていた。
親の顔色を窺って生活していた人は、他人の顔色も窺うようになってしまうのです。
幼少期の家庭環境によって顔色を窺う状態になっている人はアダルトチルドレンに該当する可能性があります。
アダルトチルドレンの概念と特徴、6つの役割(ヒーロー、スケープゴート、ロストワン、プラケーター、クラン、イネイブラー)について説明しています。
コミュニティでの経験
- グループのリーダーが気分屋でご機嫌取りをしないといけなかった
- 部活の顧問が厳しくて常に顔色を窺いながら接していた
- 上司にパワハラをされないように顔色を窺い続ける必要があった
家庭環境以外のコミュニティでも顔色を窺い続けていると習慣化されてしまうことがあります。
適応能力の高さ、我慢強さがある人ほど所属しているコミュニティの影響を受けやすいです。
人の顔色をうかがうのをやめる方法
課題を分離させる
相手が不機嫌になっているのは相手自身の問題である可能性があります。
- 自分の感情を上手く制御できない傾向がある
- 不機嫌になることで他人をコントロールしている
- 体調が悪くて機嫌が悪くなっている
自分と関係ない理由で相手が不機嫌になった可能性に目を向けるようにしてください。
もし、相手とのかかわりで自分が不機嫌にさせてしまうようなことをしたら改善するというスタンスで大丈夫です。
当時の自分の本音を受け止める
顔色を窺っていた相手との関係で適切な行動を取ることばかりに意識が向き、結果として自分の本音が押し殺されてきています。
本当はソフトクリームが食べたかったけど、言ったら母親は「お金がない!」と怒り出すから我慢した。
勉強なんてしたくなかったけど、良い点数を取れば父親がご機嫌になるから頑張った。
クラスメイトを泣かせた理由を言いたかったけど、先生に「言い訳するな」と怒られるから我慢した。
当時わかってもらえなかった自分の気持ちを言葉にし、受け止めていくことによって自分の本音がわかるようになってきます。
自分がどうしたいかに目を向ける
相手の顔色をうかがって「相手はこうして欲しいんだろうな」と思ったとき、「自分はどうしたいんだろう」と問いかけるようにしてください。
最初はその場でやるのはなかなか難しいため、振り返って考えてみる形で大丈夫です。
まずは書き出すことから始めてリアルタイムで気付けるようになってきたら、少しずつ自分がどうしたいかを優先する機会を作っていきましょう。
相手は手伝って欲しいと思っているだろうけど、自分はやりたくないからやらないとか。
抵抗を感じる度合いが少ないことからチャレンジしていただければと思います。
不安や恐怖と向き合う
顔色をうかがってしまう背景にあるのは不安や恐怖の感情です。
もし、顔色をうかがわず不機嫌なままにしていたら怒られるかもしれない、嫌われてしまうかもしれない。
強い不安や恐怖がある状態のまま気にしないようにするのは無理なこと。
「怒られるのは怖いよね」「嫌われたらショックだよね」と自分の気持ちを受け止めるようにしてみてください。
不安や恐怖は受け止めることによって治まりやすくなります。
大丈夫だった経験を積む
話しかけたときにそっけない返事だったから機嫌が悪いんだと思って話しかけないようにする。
「素っ気ない返事=機嫌が悪い」と判断しているわけですが、本当に機嫌が悪いかどうかはわかりません。
幼少期から顔色を窺い続けてきた人は、相手の機嫌を察知しやすいとはいえ100%ではないし、どこか恐れながら接していることで相手の反応を過剰に捉えてしまうところがあります。
だから、「機嫌が悪いんじゃないか」「怒っているんじゃないか」と思っても、なるべくそのまま接するようにしてみましょう。
機嫌が悪いと思っていたけど実は怒っておらず、嫌な態度を取られることがなかった、怒られなかったという経験が増えていくにつれ、顔色を窺わなくても大丈夫な感覚になっていきます。
カウンセリングを受ける
ここまでご紹介した方法を試してみても顔色を窺ってしまう、どうすればいいかよくわからないという場合はご相談ください。
カウンセリングでは顔色を窺ってしまう心理を紐解き、潜在的に抱えている問題にアプローチしていきます。
人の顔色を窺ってしまう状態の方はカウンセラーに対しても顔色を窺うため、何を話せばいいのかわからなくなったり、言いたいことを飲み込んでしまったりしやすいです。
少しずつにはなりますが、カウンセリングで自分が話したいことを話すことができ、それをカウンセラーに受け止めてもらえたと感じる経験が人の顔色を窺ってしまう状態を改善へと向かわせます。