全部自分が悪いと思って罪悪感に苛まれる女性

あの人が不機嫌なのは自分のせいだ。

イジメや嫌がらせを受けたら嫌われるような自分が悪いと思ってしまう。

自分が悪いと思うことでつらい気持ちが出てきても、自分が悪いのにつらいと思ってはいけないと抑え込もうとする。

何でもかんでも自分のせいにして自分が悪いとばかり思うのはしんどいですよね。

全部自分が悪ってしまう人の心理、改善方法についてお伝えしていきます。

全部自分が悪いと思ってしまう原因

親からの責任転嫁

親の不機嫌な理由を押し付けられてきた子供は、全部自分が悪いと思うようになります。

  • 自分が良い子にしていなかったからお母さんを怒らせてしまった
  • 自分がテストで良い点数を取れなかったからお母さんを失望させてしまった
  • 自分が行儀良くできなかったからお父さんを怒らせてしまった

どれも子供だけが悪いわけではないのですが、親が「お前が悪い」という前提で接してくることで子供は自分が悪いと思い込む。

幼少期に何か上手くいかないことがあるたびに自分のせいにされてきたことで、すべて自分の責任だと思うようになっているのです。

両親の不仲

両親が不仲であることを自分の責任だと思い、罪悪感を抱えていた人は何でも自分のせいだと思いやすい傾向があります。

子供は両親に仲良くして欲しいという思いがあり、仲良くしてもらえるように努力をする。

しかし、どれだけ頑張っても両親の関係が改善しないときに無力感、罪悪感を抱えて自分を責めるようになるのです。

さらに親から「あんたさえいなければ離婚していたわ!」等と言われた経験が重なれば、自分を責める気持ちはより強くなります。

本来自分にはどうにもできないことを自分の責任にしたことによって、全部自分が悪いと思う状態になってしまったわけです。

HSP(繊細な性質)

HSPの性質を持っている人は、真面目で「自分がやらなければ」という責任感が強い傾向があります。

責任を負わされているわけではないのに、自分で責任を負うようにしてしまう。

自分がやらないといけないという前提になっているから、上手くいかなくなったときに自分が悪いと思うのです。

HSPは「自分は自分、他人は他人」という線引きが曖昧で「自分には関係ない」と割り切ることがなかなかできません。

また、0か100かの白黒思考によって自分が悪いか相手が悪いかの二択となり、相手を責めることができないから自分のせいにするしかないところもあります。

全部自分が悪いと思う背景にある万能感

全部自分が悪いと言う人は、自分を責めてばかりで謙虚なイメージです。

しかし、よくよく考えてみると全部自分が悪いと思うのは、全てに自分が関与している、全てに自分が影響を与えているという感覚(万能感)があると言えます。

電車に乗っているときに人身事故が起こったとして、事故に遭った人と接点がなければ自分が影響を与えた可能性はゼロでしょう。

それを自分のせいだと思うとすれば、超能力のようなものが使えることになりますよね。

極端な例で説明したので「そんなこと思う人はいないでしょ」と思ったかもしれませんが、職場の上司が不機嫌なときに自分のせいだと思うのも同じようなものです。

たとえ自分のミスで迷惑を掛けた場合であったとしても、上司が不機嫌になる理由が自分だけということはありません。

すでに他のことで上司の機嫌が悪くなりかけていたのかもしれないし、そもそも上司が感情的になりやすい性格なのかもしれない。

自分以外の要因がいくつもあるのに自分のせいで上司を不機嫌にさせてしまったと思うのは、自分がコントロールしているかのような万能感を抱いていると言えるのです。

「全部自分が悪い」と責めてしまう状態を変えていくために

自責、他責、無責の分散

自分を責めることを「自責」、他人を責めることを「他責」、誰も責めないことを「無責」と言います。

自責と他責はよく言われますが、無責は知らない人が多いかもしれません。

例えば、上手くいかないことがあったとき、「自責・他責・無責」それぞれで以下のような反応になります。

  • 自責で考えると「自分はダメだ」と思って落ち込む
  • 他責で考えると「あいつのせいだ」と思ってイライラする
  • 無責で考えると「仕方ない」と思って諦める

自責か他責かだけで考えていると、自分が悪いなら相手は悪くない、相手が悪いなら自分は悪くないといった二元論に陥ってしまいやすい。

でも、実際はそんなに単純ではなく、自分も相手も悪くないことだってありますよね。

自分にも責任があるし、相手にも責任がある。と同時にどちらの責任でもないこともある。

全部自分のせいにするというのは、他責、無責から目を背けることになってしまうため、本当の意味で問題と向き合えていないことになります。

自責だけでなく他責、無責にも目を向けることを心がけてください。

客観視する

以前、保険代理店に勤めていた頃に自動車保険の事故対応をすることが多く、その中で揉める原因になりやすかったのが過失割合でした。(過失割合というのはお互いの不注意の度合いを割合であらわしたものです。)

例えば、信号のない交差点でお互いに前進していて衝突した場合は、「止まれ」の標識を無視した側の過失割合が高くなりますが、無視してきた相手を注意深く見ていれば避けられた相手側にも過失割合が発生します。

信号待ちで停車中に後ろから追突された場合は、追突してきた車の過失割合が100%なので追突された側の過失割合は0となります。

この場合は追突した過失割合100%の車の運転者が謝罪をして全額弁償します。

追突された過失割合0の人が「止まっていてすみません」と謝ることはありえませんが、全部自分のせいだと思う人はこれをやってしまうのです。

自分は止まっていたのに相手が勝手に追突してきたなら相手が悪い。自分は悪くない。

自分が全部悪いと思ったとき、本当に自分だけが悪かったのか、他にも悪い要因はなかったのかを考えてみるようにしていただければと思います。

自分を大切にする感覚を養う

自分が全責任を負うのはしんどいし嫌なことです。

それが当たり前のようにできてしまうのは、自分を大切にできていない証拠だと言えます。

自分を大切にしていたとすれば、自分ばかりを責めるのはあまりにつらくてできませんからね。

自分を大切にするためにはまず自分を知ることが必要です。

自分を責めている人は、自分のダメなところは見続けているのですが、他の部分にはほとんど目が向いていません。

ダメなところ以外で自分にはどういう要素があるのかを一度考えてみてください。

もし、全く思いつかない状態でしたら一人で変えていくのが難しいと思われますのでご相談いただければと思います。

自分の本音と向き合う

「全部自分のせいだ」と自分を責めるのは自分を攻撃している状態だと言えます。

自分を責めるなんて誰だってやりたくはありません。

でも、他人に攻撃性を向けることができない以上、自分に向けるしかない状態になっているのです。

本当は誰かに対して強い怒りを抱いているのではないでしょうか?

過去や今現在のことでモヤモヤしていることを書き出してみると少し見えてくるかもしれません。

  • 親は自分に愛情を注いでくれたと思っているけど「なぜあのとき無理やり学校に行かせたんだ」と思う
  • 親は良かれと思ってやってくれていたけど自分が嫌で仕方がなかったことをわかって欲しかった
  • エスカレートするのが怖くて耐え続けたがいじめるのはやめて欲しかった
  • 先生は正しいことを言っていたと思うけどもっと自分に寄り添う対応をして欲しかった
  • 気分屋で理不尽なことを言ってくる上司と割り切って付き合っているがイライラする

カウンセリングでは自分の本音と向き合うサポートをおこない、全部自分が悪いと責め続ける状態を変えていきます。

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