冷めた性格というのは、良いように言えばクール、冷静、サバサバ、落ち着いている。
悪く言えばドライ、冷たい、ノリが悪い、愛想がない、そっけない。
すべてが悪いとは言えませんが、みんながはしゃいでワイワイしてるときに冷めていると一緒に楽しめないつらさがあります。
また、他人の話に興味関心が持ちづらいために、相手が盛り上がって話していてもこっちは冷静なまま。
とくに中身のない話をされるとくだらないと思ってしまい、一緒に笑うのが苦痛になることもあります。
相手との温度差を埋めるために表面上合わせるのが結構しんどかったりもするんですよね。
感情が表に出ないから相手によっては物足りなさを感じて「冷めてるよね」と言ってきたり、一緒に盛り上がれないのが嫌で距離を置かれてしまうことも。
冷めた性格になる原因、そして、変えていく方法をお伝えしていきます。
冷めた性格になってしまう原因
自分の本音を偽っている
有名なイソップ寓話の中に「すっぱい葡萄(ブドウ)」という話があるのをご存知でしょうか?
お腹が減ってブドウが食べたくて仕方ないキツネが、木になっているブドウが届かないから「どうせあのブドウはすっぱくてまずいんだ」と自分に言い聞かせて諦めるという話です。
「ブドウが好きなのに食べられない」という現実が苦しみを生み出すため、「あのブドウはすっぱい」と思い込み、「食べてもまずいだけだからあんなブドウ食べたくない」と自分に嘘をついて解消する。
女性に相手にしてもらえないのに「彼女が欲しい」と思うのはつらいので、「彼女なんていてもお金がかかるだけだ」「女性なんてろくなもんじゃない」等と思い込み、「別に彼女は欲しくない」と言うようになるのと同じです。
一時的に自分を納得させて苦しみから解放できるのですが、やればやるほど本音がわからなくなって冷めた感覚になっていきます。
怒りの抑圧が冷めた性格につながる
人間だけでなく動物全般に言えることですが、怒っているときは興奮状態になります。
顔が赤くなり、手や腋に汗をかき、ワナワナと震えがきて呼吸が荒くなる。
冷静でいられない、冷めているときとは真逆の状態ですよね。
怒りが興奮を伴うものであるから、怒りを抑圧している人は興奮も怒りだと認識して無意識レベルで抑圧しています。
よほどのことがない限り興奮しない状態になっているのです。
興奮しない、冷めた性格を作り出す背景には怒りの抑圧があると言えます。
分析ばかりするからどんどん冷めていく
冷めている人に「客観的に物事を見ることができますか?」と質問すると、ほぼ100%の確率でYESが返ってきます。
冷めた目で自分や他人を分析していることが多いからです。
人が頑張っている姿を見て冷笑したり、友達が良い報告をしてきても喜べず、みんなで盛り上がる場面でも一緒に盛り上がれなかったり、映画を観ても変に分析して感情移入できなかったり…
感情のまま素直に動くことがありません。
冷めた目でおこなう分析は心を荒ませ、さらに自己嫌悪や諦めを加速させるためにどんどん心が麻痺していく。
自分が何を感じているかもよくわからない状態になっていくのです。
冷めた性格を直すために
感情や欲求に目を向けて本音を知ろうとする
本音というのは本当の気持ちであり、感情や欲求から出てくるものです。
自分の感情や欲求をごまかさずちゃんと気付けている人は、自分の本音にも気付けています。
しかし、冷めている人は自分の感情や欲求を誤魔化して感じないようにしているがために本音がぼやけてしまうのです。
嬉しい、楽しい、悲しい、ムカつく、愛おしい、憎い、恨めしい、羨ましい、好き、嫌い、食べたい、寝たい、欲しい…
こういった感情や欲求に気付けるようになっていく中で、自分がどうしたいのかという本音が見えてきます。
その本音に従って行動することで素直になっていくので、感情や欲求というのは非常に大切なんですよね。
自分の本音に気付くカギは矛盾
本音を偽って誤魔化していると何かしらの矛盾が出てきます。
以下のやりとりをご覧ください。
カウンセラー:「人とどういうかかわりができれば理想的ですか?」
クライエント:「職場の人に気を遣わず仲良く楽しく話せるようになりたいです。」
カウンセラー:「職場の人に自分の話ってされてますか?」
クライエント:「一切してません。職場の人に本当の自分は絶対に見せたくないんです。」
このクライエントさんの2つの発言を合体させると「職場の人に本当の自分を絶対に見せずに仲良く楽しく話せるようになりたいんです。」になりますよね?
これって完全に矛盾してるんです。
本当の自分を絶対に見せようとしないほどに壁を作っている人と気を遣わない仲になんてなれませんからね。
本音を偽っている人の話を聴いていると、このような矛盾がいくつも出てきます。
「一人の方が楽だし人と関わりたくないけど、人からどう見られてるか異常に気になる」というのは、人と上手くかかわれないから本当はかかわりたいのに一人の方がいいと思い込んでいる。
「もう母は私のことを理解してくれないって諦めているけど、母のことを考えると無性にイライラする」というのは、本当は母親に理解して欲しいのに諦めるしかないと無理やり自分を納得させている。
自分の気持ちを偽り続けてきた人ほどこういった本音を見つけるのは難しいですが、カウンセリングで本音や感情に焦点を当てて矛盾とぶつかりながら少しずつ気付けるようになっていきます。
直面した問題を解決することで人生を変えられる
自分の気持ちを大切にして、自分がどうしたいかに従って生きている人は熱いです。
熱く生きようと思うと冷めた状態ではぶつからなかった問題にぶつかるため、向き合って解決していくことが必要となります。
サッカーで例えるなら、本当はゴールを決めたいのに自分でシュートを打たずにパスばかりしていた人が、自分でシュートを打つようになる感じですね。
当然ですが、自分がゴールを決めたいなら自分でシュートを打たなければいけません。
決められなかったときの批判を恐れてばかりではいつまで経ってもシュートは打てませんが、シュートを打ちたいという自分の本音に気付くことでその気持ちは強くなり行動に移しやすくなります。
自分の人生、自分が諦めたら誰も代わりにはやってくれません。
冷めた分析を繰り返す虚しい人生にピリオドを打ち、しんどいながらも喜びや悲しみを共有できる人生に変えていきましょう。