「自分を大切にできない人は他人も大切にできない」というのはよく言われますよね。
でも、他人を大切にすることと自分を大切にすることは別物だと感じる人は多いのではないでしょうか?
私も初めてこの言葉を聞いたときはそう思いました。
相手の気持ちを考えることができるなら自分を大切にしていなくても問題ないんじゃないかと。
たしかに相手の気持ちを考えることで表面的には相手を大切にできますが、本当の意味で相手を大切にすることはできないのです。
自分を大切にできない人は他人を大切にできない状態になっている
自分を大切にしていないと自分のために相手を利用してしまう
自分を大切にしていない人が相手を大切にしようとすると、相手のためと言いながらも自分のためになることをしてしまいます。
本来は相手が自分でやらないといけないことまでやってしまったり、自分が正しいと思う方向に誘導したり、やってあげたことに対する見返りを求めたり…
自分が満たされていないから相手のためと言いつつも無意識に自分のためになることをやってしまうのです。
また、自分を大切にしていないと他人の幸せを素直に喜べない部分も出てきます。
自分を大切にできていて満たされているなら他人の幸せも手離しで喜べるのですが、どうしても嫉妬心や劣等感がくすぐられてしまいますからね。
自分を大切にしていないと相手のことが考えられなくなる
自分のことを大切にしていなくても相手のことを考えることはできます。相手の為になることもできます。
しかし、自分を大切にしていない人はしんどさを抱えているため、相手のことを考えられず以下のようなことをしてしまいやすい傾向があります。
- 相手にしてあげたことをアピールする
- 察してくれないことに対して嫌味を言う
- 急に連絡を取らなくなる
- 不安定になって相手に負担をかける
- 身近な人に溜め込んだ感情を一気にぶつける
自分の気持ちを抑え込んで無理をしているわけですから、どこかにほころびが出てきてもおかしくありませんよね。
よくイメージとして「おぼれている人はおぼれている人を助けられない」という例え話をするのですが、他人を大切にするためにはまず自分が安定していないと難しい面が出てくるのです。
「自分を大切にする」ということ
そもそも「自分を大切にする」とはどういうことなのか?
自分を大切にするというのは、自分の心と体を大切にするということです。
- 疲れが溜まっているなら休む
- ストレスが溜まっているなら解消する
- 嫌なことを無理してやっているならやめる
- 不健康な食生活を見直す
- 睡眠の質と時間を改善する
- 好きなことをする時間を確保する
美徳とされる自己犠牲は自分の気持ちから目をそらしているにすぎません。
自分を大切にしている人は、自分か他人かどちらを優先するかになれば自分を優先します。
なぜなら、自分を大切にすることによって初めて他人を大切にできると知っているからです。
自分が我慢して丸く収まるならいいと思っていませんか?感情の抑圧は自覚がないまま大きな問題を引き起こしています。
自分と他人を大切にするバランス感覚
だからといってどんな場面でも自分の気持ちを優先できませんし、優先するのが必ずしも良いとは言えません。
ときには自分の気持ちを抑えて他人の気持ちを優先させるときもあるでしょう。
常にどちらを優先させるかという二者択一ではなく、大切なのはここまでなら相手を優先してもいいけどこれ以上は無理という線引きができるかどうか。
飲み会に行きたくないけどお世話になった人の送別会だし今回は行こうかな。でも、毎回は嫌だから断ろう。
このように上手くバランスをとれるようにするためにも、自分の気持ちを大切にするという前提が必要になるのです。
自分を大切にできているかどうかの判断基準
自分を大切にできているかどうかの判断基準として、自分が大切に思う人(家族、友達、恋人)に対する接し方と自分への接し方の違いを比較していただければ一目瞭然です。
自分を大切にできていない人は、失敗したときに自分にひどい言葉を投げかけます。「このクズ」とか「ほんと何やってもダメだな」とか。
なのに、大切な友達が失敗して落ち込んだとなれば「また次があるから大丈夫だよ」とか「自分を責めることはないよ」とか優しい言葉をかけるのです。
自分を大切にできている人ほど、ここの差が小さい。逆に差が大きければ大きいほど自分を大切にしていないと言えます。
自分を大切にするために
自分の気持ちを大切にする
まずは自分の気持ちを知ることからになります。自分の気持ちを知らないままでは大切にしようがないですからね。
ただ、今まで抑え込んで見ないようにしてきた自分の気持ちはなかなか認識できないため、カウンセリングで本来あるはずの気持ちの動きを言葉にしてもらいながら、少しずつ自分の気持ちを知っていきます。
- いつも「どこでもいいよ」と言っているけど本当はここに行きたい
- 「大丈夫」と言っているけど本当は「もう無理」だと思っている
- 「いいよ」と何でも快く引き受けるけど本当はやりたくない
自分の気持ちを大切にすることは、言い換えれば自分の本音に添って行動することです。
当然、やりたくてもできないことも、やりたくなくてもやらなきゃいけないこともあります。
その中でも、自分の人生をよりよくするためにできる限り「やりたいことをやってやりたくないことをやらない」を実践していくことが自分を大切にすることになるのです。
自分の身体を大切にする
普段から自分の体調に意識を向けてより良くしていくことです。
栄養バランスの取れた食事や睡眠時間の確保、適度な運動はもちろん、お菓子を食べすぎないこと、お酒を飲みすぎないこと、働きすぎないこと等も身体を大切にすることになります。
頻繁にはできませんが、自然の多い場所に行く、マッサージを受ける、温泉に行くといったこともできると良いですね。
逆に、目が疲れているのにパソコンやスマホの画面を見続けること、眠いのに無理やり起き続けること、お腹が空いているのに昼食を抜くこと等は、やればやるほど自分を大切にしていないことになってしまいます。
自分を大切にしてこなかった人は、自分の疲れやしんどさに鈍感で自覚しづらいところがあるため、カウンセリングで身体の感覚に目を向け、気付きやすい状態にしていくことが必要です。
自分を大切にして本当の意味で他人を大切にできるようになりたい方はご相談ください。