「息子のことなんですが、引きこもりになってまして…」と20代の息子さんのことでご相談いただく事例が増えています。
「ひきこもり」の定義は以下の通りです。
「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」を「ひきこもり」と呼んでいます。
「ひきこもり」は、単一の疾患や障害の概念ではなく、様々な要因が背景になって生じます。ひきこもりのいる世帯数は、約32万世帯とされています。
20代男性のひきこもりは、学生の年齢層が多様化する大学で友達が作れなかったり、バイトをしても続けられなかったりと人間関係が上手くいかなった経験がキッカケとなるケースがほとんど。
ひきこもっていることで、いまだに親のすねをかじっていることや仕事をしていないこと、外に出ることすらできないこと等にコンプレックスを感じて自己嫌悪に陥っています。
自分がひきこもっていることを知らない人には知らないままでいてほしい。ある程度知ってる人にも詳しい現状は知られたくない。
コンプレックスを人はできるだけ隠したいと思うので、結果としてひきこもりが続いてしまうのです。
ひきこもっている息子さんへの接し方で注意すべきこと
子供がひきこもりになってしまうと親としては気が気じゃなくなるのは当然だと思います。
子供の将来、仕事、結婚、世間体…
考えれば考えるほど不安になり、なんとか外に出るようにと促します。
親としては子供のためを思ってやることなのですが、これは逆効果にしかなりません。
人間の行動心理において、自分がやりたいと思っているのにできないことを促されると、逆にやりたくなくなる心理が増長されてしまうからです。
つまり、外に出るようにと言えば言うほど外に出られなくなってしまいますので、まずは外に出るように促すのをやめましょう。
親が朝起こすのをやめたことで不登校が改善した事例は数多くあります。
ひきこもりを改善するために何をすればいいか?
まず問題になっているのは社会に上手く適応できないところです。
大学や会社というコミュニティで人とかかわることができないからひきこもる。
実際に行ってみないとわからないところではありますが、「不安はあるけど適応できるかもしれない」と思える状態にしておくことはできます。
コミュニティの最小単位は家族。
家族間でのコミュニケーションを見直し、外のコミュニティでも適応しやすい状態を作っていくのです。
- 母親の干渉が強ければ弱めてみる
- 父親との接点がなければ何かしらの理由で作ってみる
- 夫婦間のコミュニケーションが表面的であれば言いたいことを言うようにしてみる
- 息子が言うことに全部従っていたのであれば親の意見も伝えて妥協点を探す
- 親の意見を押し付ける形だったのであれば息子の意見も聞くようにする
- 息子に話させようとしていたのであれば話しやすい関係づくりを目指す
現状どういうコミュニケーションを取っているかを振り返った上で、より良くなりそうと思えることなら何でも大丈夫です。
簡単に変えることはできませんが、少しずつやってみてください。
ひきこもり改善の流れ
- 親が外に出ることを促すのをやめる
- 親がカウンセラーに相談する
- 親が息子に対する接し方を変える
- 本人にカウンセリングを受けたい意思があれば連れて行く
- 本人が一人でカウンセリングを受ける
- カウンセリングで自己洞察をしながら日々の生活習慣と行動を変えていく
- ひきこもりが改善して外に出られるようになる
20代男性のひきこもりは人間関係での失敗をキッカケとしていますが、その根本には対人恐怖症があります。
他人からどう見られるか、どう思われるか。
ひきこもりの期間が長ければ長いほど、そんな自分に対する世間からの目が厳しくなっていると感じるので、対人恐怖症の症状は強くなっています。
ひきこもりから脱出していくためには、単に外に出ようと意識して頑張るだけでなく、カウンセリングを受けて根本にある対人恐怖症を克服することが必要なのです。