幼少期の親子関係、学校生活での経験等、今の自分は過去が作り出していると多くの人が思っています。
しかし、過去ではなく未来によって今の自分が作り出されているという視点があるのです。
過去との因果、未来との因果
時間は過去、現在、未来の3つにわけることができます。
【過去】昨日の夜、飲み会が終わってからラーメンを食べに行った。
【現在】サラダとおにぎりを食べている。
【未来】明日はパスタを食べに行く予定にしている。
昨日飲み会の後にラーメンまで食べてカロリーを摂りすぎたから今日は食事量を減らす、今日である程度調整できたから明日は好きなものを食べるというのが過去との因果関係。
過去に影響されて現在、未来が作られていく。
過去の親子関係に問題があったから精神病になったと考えるのは過去との因果関係です。
今より太ってしまうのは嫌だから昨日食べ過ぎた分を今日で調整する、明日は太らない範囲で好きなものを食べるというのが未来との因果関係。
未来の目的に影響されて現在が作られていく。
未来との因果関係で精神病を考えると、未来を描けない、やりたいことがないせいで持て余す時間を埋めるために症状が出ていることになります。
過去との因果関係のほうがしっくりくると思いますが、実はどちらの因果関係も影響しているのです。
なぜ過去との因果関係がしっくりきやすいのか
影響しているのは記憶です。
人は記憶に基づいて今を見ていますので、今さわっているスマートフォンが「スマートフォンである」と認識できるのも記憶のおかげだと言えます。
- 嫌なことがあったから怒った
- 昨日飲み過ぎたから二日酔いになった
- テスト前なのに遊んでいたから点数が悪かった
- 学生時代にちゃんと勉強をしていなかったからいい会社に入れなかった
過去の記憶をもとにして見るからすんなり入ってくるのですが、すべて未来との因果関係に置き換えることもできます。
- 自分の主張を通したいから怒った
- 明日休みで支障が出ないから二日酔いになった
- 別に目指している大学がないから勉強せず悪い点数になった
- とくに目標がなかったから勉強に身が入らずいい会社に入れなかった
どうでしょうか?
過去、未来、どちらの因果関係でも捉えることはできるのです。
未来との因果関係は日常体験と一致する
そもそも私たちの日常では未来との因果がメインになっています。
例えば、映画を観にいくとき。
上映時間に間に合うように映画館に行く必要があります。
電車の時間を調べて、行ったことのない映画館なら場所を調べないと行けませんよね。
電車の時間を調べるとき上映時間から逆算して、受付の時間、ポップコーンを買う時間、人によっては買い物をする時間とかを考えた上で逆算すると思います。
場所を調べるときはグーグルマップか何かで目的地を設定してルートを表示させる。
未来にどうするかを考えて動いている、未来との因果関係なのです。
ふらっとコンビニに行くときでも同じ。
ジュースを買うとか、雑誌を見るとか、何かしらの目的があって行きますよね。
未来との因果関係が今の自分を作っている
もしすべてが過去との因果関係だけで成り立っているとすれば、今歩くことさえできていないことになります。
生まれたときは立ち上がることすらできなかったわけですから。
- 歩いたことはなかったけど歩けるようになった
- 言葉を話したことはなかったけど話せるようになった
- 行ったことのない場所だったのに行けた
- 自転車に乗ったことがないのに乗れるようになった
これらはすべて未来との因果関係によるものです。
たしかに未来に向かって調べたり、努力したり積み重ねがあって結果は生まれています。
積み重ねているのが過去なら「過去との因果関係じゃないのか」と言う人もいるかもしれません。
しかし、「こうなりたい」「こうしたい」という思いがきっかけになっているため、未来との因果関係だと言えます。
未来との因果関係があるからこそ、努力を重ねできないことをできるようにしてこれたのです。
つまり、過去に何かしらの問題があったから今悩んでいるのではなく、過去との因果関係に縛られて未来が描けなくなったから悩んでいるということ。
未来が描けなくなった人の苦悩とストレスがどれくらいのものかは、燃え尽き症候群になった人の平均余命の短さから想像できます。
未来との因果関係で過去から抜け出そう
せっかく話しかけてもらったのにうなずくことしかできなかった…また話しかけてもらっても話せないだろうな…そういえば、昨日も一昨日も普通に話せなかったよな…今まで何年も友達できていないしずっと話せないままに違いない…
過去との因果関係で見ると絶望しかありません。だから、嫌なことばかり思い出すし気分も上がらない。鬱々としてどんどん悪化していくのです。
未来との因果関係で見ればどうでしょうか?
いつか起業して一人で仕事ができるようになりたい。自分で事業をやるってことは人とのコミュニケーションは避けられないよな。ちょっとずつでも人とかかわっていくようにしないと。全然人と話せないけど勇気を振り絞って飲食店のアルバイトをやってみよう。
上記の過去との因果、未来との因果は私の実体験です。
「起業する」というのは、人とまともに話せず学校で孤立していた自分(過去)から見ればありえないこと。
でも、本気でやりたいと思ったからどうすればいいか考えたし、時間はかかりましたができなかったことができるようになりました。
私たちは過去ではなく未来に向かって生きています。
過去に何があったかよりも「これからどうしていくのか、どうしていきたいか」の方が大切なのです。
実際に悩みが解決できない状態に陥っている人は過去のとの因果が強く、解決していく人は未来との因果が強まっている傾向が見られます。
過去と現在の自分から見て「できるかどうか」ではなく、「やりたいかどうか」で自分の未来を考えてみてください。
過去との因果にとらわれて未来に目を向けられない状態の方はカウンセリングでサポートいたします。