人間関係の問題や学業不振による不登校は多いですが、背景に親子関係の問題が潜んでいることがよくあります。
学校の集団生活で気を張って過ごしている中、人間関係が上手くいかない、授業についていけないといった問題が出てくるのはしんどいものです。
それでも、家で心を休められる子は乗り越えやすい傾向が見られます。
逆に家でも気を張っている子は心休まる場がないため、燃え尽きて不登校になりやすい。
家が心安らぐ場所になっているかどうか、つまり、親子関係が安心できる関係かどうかが不登校に影響するのです。
子供が不登校になりやすい親の特徴
幼児性が強い
親の幼児性が強いと子供は子供らしくいられません。
ありのままの自分でいられず常に無理をして親の面倒を見ないといけなくなるわけです。
子供に対して「友達のような関係でいたい」と望む親に多くみられます。
友達というと聞こえはいいですが、親としての責任を放棄したにすぎません。
子供からすればものすごくしんどいですよね。
世間体ばかり気にする
子供が不登校になることで世間からどう見られるかを気にしている親。
子供の気持ちではなく子供が、そして、自分が世間にどう見られるかにしか興味がありません。
学校に行くように言われても、子供は自分のために言ってくれていると感じずただプレッシャーになるだけ。
たいていの親は自分が世間体しか考えていないことを自覚しておらず、子供のためと真剣に思い込んでいるため厄介です。
コミュニケーションが一方通行
親が子供にしてあげたいことをする。
子供がどうして欲しいかは無視されるので、子供からすればものすごくしんどいです。
親から見て正しいか間違っているか、良いか悪いかを常に押し付ける。
子供にも子供なりの考えはあるのですが、言っても聞いてもらえないと思うと諦めて我慢するようになります。
我慢の習慣で子供は自分がよくわからなくなり、学校に行く気力が失われていくのです。
親子関係で形成される不登校の因子
親子関係で培われなかった自己肯定感
「ありのままの自分でいい」と思える自己肯定感は親子関係で培われます。
自己肯定感とは、自分は無条件に愛される存在であり、自分には価値があると思える感覚です。
親の言うことをちゃんと聞くから、勉強ができるからといった条件付きで愛されて育った子供は自己肯定感が低い。
ありのままの自分を見せたら否定されるのでは、見捨てられるのではと強い不安を抱えています。
だから、些細な相手の反応にもビクビクしやすくダメージを受けやすい。
常に人とのかかわりで緊張が解けないため、どこかの時点で限界に達して不登校になるのです。
頼りたくても頼れない親子関係
例えば、学校でいじめに遭って不登校になったとします。
表面的に見れば「いじめが原因だ」となるわけですが、いじめに遭ったからといって必ずしも不登校になるとは限りません。
いじめに遭うことで学校に自分の居場所を失ったとしても、家に自分の居場所があれば乗り切っていきやすい。
困ったとき親に頼れる関係であれば、いじめという問題に親が一緒に立ち向かい、先生のサポートを得て解決する、転校などによって対処することも可能です。
しかし、親に言っても理解してもらえそうになかったり、親が不安定で受け止めてもらえそうになかったりすると頼りたくても頼れない。
自分で抱え込むしかなくなって不登校になってしまうのです。
親子関係の問題を解決していくために
まずは親自身が問題を自覚するところから
「この子は神経質だから」「他の兄弟と同じ育て方をしてきたのに」「他の子に比べて弱いから」等と言って、子供の問題として見ている親がほとんど。
たしかに子供自身の性質も影響していますが、それがすべてではありません。
学校で起こったいじめ問題や上手くいかない人間関係だけが原因とも言い切れません。
親にも子供を不登校にさせてしまった原因が何かしらあります。
カウンセリングでは幼少期からのお子さんへの接し方もしっかりお聴きした上で、何が原因になっているのか、背景にある気持ちにも気付いていただけるようお話ししていきます。
夫婦関係の問題と向き合う
夫婦関係が上手くいっていないことも親子関係に影響を及ぼします。
例えば、母親が父親に虐げられているような状況があった場合、子供は母親を守らないとと思うため、無意識レベルで家にいようとする。
母親を守ることを目的として不登校になるわけです。
夫婦間のコミュニケーションが上手くいかず、かまってほしい妻が無意識に子供を不登校にしてしまうケースもあります。
子供の不登校という大きな問題は、親が本来向き合うべき問題から目を背ける役割も果たすのです。
親が抱える自分の親との心理的な課題を解消する
親子関係の問題には世代間連鎖があり、自分の親との関係で抱えた問題が子供に影響しています。
親に愛された実感がないと子供の愛し方がわからなくなるし、親に向けられない感情が子供に向いてしまうこともある。
カウンセリングを受けていくと親自身が親との関係で抱えた問題に気付き、解消していくことができます。
心理的な課題が解消されていくにつれ子供の気持ちを受け止められるようになるため、学校に行けない子供の気持ちに寄り添うことができる。
自分の気持ちを受け止めてもらえた安心感で子供は少しずつ動けるようになっていきます。
子供自身が本音を自由に話せる場も必要
不登校で悩む子供は親に対して複雑な思いを抱いています。
- 学校に行けない自分はダメな子だ、価値がない
- どんな理由でも不登校は許されないと思う
- 理解してほしいけど理解してもらえると思えない
- 心配をかけるようなことは言いたくない
- どう説明していいかわからない
だから、親に自分の本音を言うことができず一人で抱え込んでしまう。
自分の気持ちを抑え込むことが不登校の解決を妨げているため、親に言えない本音を話せる場が必要なのです。
年齢が若ければ若いほど自分の本音がわかっていないケースが多いので、カウンセリングでは気付いていけるような言葉がけもしております。
親子それぞれが親子関係の問題と向き合えるようにカウンセラーがサポートいたします。