やりたいこと、やるべきことがあっても失敗を恐れていると行動できずに困ります。
「失敗は成功の元」「失敗しても死ぬわけじゃないし」なんて言い聞かせても効果なし。
どうすれば失敗を恐れる状態を克服できるのでしょうか?
私自身の体験談を交えて失敗恐怖症の原因、克服方法を具体的にお伝えします。
失敗恐怖症とは?
失敗恐怖症は名前の通り自分が何かに失敗することを過剰に恐れる症状です。
失敗して恥ずかしさや屈辱を感じるのが耐えがたい。
背景には失敗する自分を受け入れられない、許せないといった完璧主義的な心理も働いています。
別に失敗するのが当然だと思っていれば、失敗したところで恥ずかしさも屈辱も感じませんからね。
自己イメージが肥大化している証拠であり、幼児的万能感が強い傾向が見られます。
失敗しない自分なら受け入れられるけど、失敗してしまう自分は受け入れられない。
失敗をすることで自分の存在価値が揺らぐような感覚になっているから、失敗が怖くて仕方ないのです。
失敗のリスクが恐怖心を生み出している
周りに誰もいない完全に一人の状況で失敗したとしても、見られることも責められることもないのでほとんど気になりません。
例えば、人目がない場所でつまずいてこけそうになったとしても「危なかった」と思うくらいで終わります。
しかし、人通りが多い場所でつまずいてこけそうになったら恥ずかしい気持ちが出てきて、早歩きになったり、気にしていないフリをしてみたりしますよね。
誰かに「笑われたかもしれない、変に思われたかもしれない」と思うから恥ずかしい気持ちになるわけです。
一人だけの状況でも失敗が重なると、自分を責めたり、落ち込んだりすることはありますが、恐怖心を抱くことはありません。
ただ、投資のようなリスクを伴うことであれば、失敗を恐れる感覚が出てくることがあります。
失敗が怖いと思うのは、人に笑われる、怒られる、評価が下がる、損をする等といったリスクを想定しているから。
実際よりもリスクを大きく捉えてしまう人ほど、失敗への恐怖心が強くなりやすいのです。
失敗を過度に恐れてしまう原因
親子関係で形成された失敗への恐怖心
例えば、同じ小学生でも失敗を恐れず果敢にチャレンジしていく子もいれば、全然チャレンジしない子もいますよね。
なぜでしょうか?
まず生まれ持った性質の影響が考えられます。不安を感じやすいタイプ、あまり感じないタイプがいるからです。
かといって、不安を感じやすい子供が必ず失敗恐怖症になるわけではありません。
もともと不安を感じやすい性質を持っていても失敗を恐れずチャレンジできる子もいます。
大きく影響するのは生まれ育った環境、親子関係です。
親が子供に失敗を含めた体験をどれだけさせてきたか、子供の失敗をどう捉えていたか。
世間体を気にする親は失敗に対して否定的な態度を取りがち。過干渉や過保護によって子供の失敗経験を奪う親も多くいます。
失敗をする自分は親に受け入れてもらえないと思うことが、失敗への恐怖心を生み出しているのです。
親の接し方や家庭環境が子供にどれだけの影響を与えるかをご説明しています。
失敗を悪とする日本の教育や文化の影響
日本は世間体を重視する「恥の文化」によって「個人<集団(世間)」という意識が深く根付いています。
周りにどう見られるかを基準にしているから、恥をかくことにつながる失敗に対して過剰な意識が向いてしまいやすい。
また、小学校での6年間、中学校での3年間、義務教育の期間中ずっと正解至上主義で「和を乱すこと=悪」の集団行動を教育され続けるわけですから、「間違ってはいけない、失敗してはいけない」という意識が強くなるのは当然です。
授業中、先生に当てられて答えなければいけないのは正解。間違った答えを言えば恥ずかしい思いをします。
テストの答案で間違った答えを書いていれば「×」をつけられ、間違うのはダメなことなんだと刷り込まれていく。
集団行動においてはみんなと同じようにできなければ、先生に怒られたり、周りの子たちから疎まれたりすることがあります。
最近は問題視されてきていますが、就職活動における統一された服装(リクルートスーツ)等にも、正解至上主義が表れていますよね。
正解を探しながら周りに合わせた行動を取り続けてきた結果、失敗することが怖くなってしまっているのです。
「普通になりたい」と思うとき「普通ではない」という前提があります。自分が普通ではなくどこかおかしい気がするから普通になりたいと思うわけです。
失敗恐怖症だった私の経験談
小学5年生の頃、体育の授業でケンケンパの遊びをみんなでやることになりました。
ゲーム感覚で楽しめるようにとフラフープやマットで道を作ってあるところを跳んでいくというもの。
みんなは楽しそうにどんどん跳んでいく中、私は一人順番が来ても後ろに回ってやりませんでした。
その様子に気付いた担任の先生は「西橋、なんで跳ばへんのや?お前がやってへんのは知ってるんやぞ!」と私に怒鳴ったのです。
自分ではバレてないつもりでしたが、小学5年生の考えることなんて大人から見ればバレバレですよね(笑)
なぜそこまでしてやらなかったのか?
できない自分を認めたくない、やればできるという可能性を残す幼児的万能感があったと思います。
実際にやってみて気付く本当の自分
でも、先生に怒られてはやらないわけにいきません。
号泣しながらみんなが注目する中やりました。
恥ずかしいどころではないくらいの何とも言えない気持ちの中、それでもやってみたら自分なりに跳んでいくことができたのです。
みんなと比べたらペースは遅いし、上手く着地できなかったりもありましたがそれでもなんとかできました。
すごく無様でダサい姿。
でも、それが当時の自分にできる精一杯だったと言えます。
恥をかきたくない一心で失敗を避けてきた
思い返せば小さい頃からあの手この手で失敗を避けてきました。
できるかわからないことは「できない!」と言って頑なにやろうとしない。
テストの点数が悪いのは恥ずかしいからと答えを写して点数を誤魔化す。
みんなと一緒に遊びたいのに入れてもらえないから一人で何かしているように見せかける。
最初は不安を感じやすい性質の影響だったのですが、母親の過干渉と否定を受け続ける中で失敗を恐れるようになっていました。
何でも器用にこなす弟と比較してコンプレックスを感じていたのも大きかったと思います。
失敗して恥をかくくらいなら避ける。
やらなければバレずに済むわけですからね。
失敗を避ける=成長できない
でも、そうやって避けてばかりいるから一向にできるようにはならないし、年齢を重ねる毎に周りとの差が開いてきて余計に見せられなくなっていたのです。
「こんな年にもなってこんなこともできないなんて」と自己嫌悪でどんどん自分を嫌いになる。
嫌いな自分を見せたくないから自分を出さなくなっていく。
ダメな自分を知られたくないから人とのかかわりを避ける。
この悪循環の先に待ち受けていたのが対人恐怖症だったわけです。
失敗を恐れて恥をかく場面を避ける習慣があれば必ず対人恐怖症になるとは言えません。
ただ、恥をかかないように、失敗しないようにと避けることで人として成長できないというのは間違いなく言えます。
失敗を恐れず行動できるようになるために
失敗の受け止め方を小さくする
失敗することに恐怖を感じている人は、一つの失敗をものすごく大きく捉えています。
- 打ち合わせの時間に遅れてしまった
- 場の空気にそぐわない発言をしてしまった
- 相手の話を聞けていなくて聞き返した
- メールを誤送信してしまった
- 営業先で上手く話せなかった
小さな失敗を引きずり、過度に自分を責め立ててしまう。
取り返しがつかないほどのミスをしてしまったかのような感覚に陥ることで恐怖心が生まれています。
しかし、よくよく考えてみれば、誰もが経験するようなことであり、自分だけが特別なミスをしているわけではないはずです。
過去を振り返って自分がした失敗がどれだけ周りに影響を与えたかを考えてみてください。
意外と小さくて、結果的に何とかなったことばかりだったと気付くのではないでしょうか。
前提を変えて失敗そのものをなくす
「できるのが当たり前」という前提で何かをすれば、できないことがある度に失敗したことになります。
逆に、「できないのが当たり前」という前提であれば、できないことがあっても失敗にはなりません。
「できるのが当たり前」「成功して当然」という前提だから失敗だと思うことが増えているのです。
新しいことを始めるとき、最初から上手くできるケースよりできないケースの方が多いもの。
日々の仕事や家事等、今はできて当たり前になっていることも、やり始めた頃は当たり前ではなかったはず。
上手くできること、成功することは当たり前ではありません。
「できないのが当たり前」を前提にすれば、些細なことができただけで「よかった」と思えるようになります。
不慣れなことや苦手なことをやるときは、「できないのが当たり前」という前提で取り組むように心がけてください。
失敗した後の対応を考える
失敗は防ごうとしても起こってしまうもので、私自身もサラリーマン時代に失敗を繰り返してきました。
ややこしい役員に間違った書類を提出して上司に怒られたり、事務所の鍵を指定の場所に戻すのを忘れて怒られたり、お客さんに送るはずのメールを違うところに送ってしまったり…
まあ、細かいことを挙げればキリがないくらい出てきます(苦笑)
確かにこういった失敗をしないことは大事なのですが失敗をゼロにすることは不可能です。
テストで100点満点を目指していた私たちは失敗しないことが一番大事だと思ってしまいがちですがもっと大事なことがあります。
それは「失敗をした後にどうするか」です。
- なるべく早い段階で報告、相談をする
- 間違って迷惑をかけてしまったなら相手に誠心誠意謝る
- 失敗の傷口が広がらないように対策を打つ
- 間違って提出したものは取り消しをしてもらえるように依頼する
- 同じミスを繰り返さないような仕組みを考える
失敗しないことではなく、失敗したときの対応を具体的に考えるようにしてください。
カウンセリングでは実際の事例をもとに失敗への対応方法を一緒に考えていきます。
失敗を目的にする
失敗への恐れをなくすための手段として「失敗を目的にする」方法があります。
「?」という感じかもしれませんが、これは成功を目的にしているから失敗を恐れるという原理を逆手にとったものです。
普段、人は何かに取り組むとき、とくに仕事やイベント事で成功を求められる場面で失敗への恐怖心が強くなります。
成功しないといけないという状況に置かれると「失敗してはいけない」と思うから当然ですよね。
確かに、この気持ちによって事前準備を必死に頑張ったりする面はメリットだと言えますが、本番になってもこの気持ちのままだと逆に余計な力みが出て失敗しやすくなってしまいます。
それを「失敗しよう」「恥をかこう」といった目的を掲げることで和らげてあげる。
成功が目的である場合と、失敗が目的である場合のプレッシャーには歴然たる違いがありますからね。
この方法は飛び込み営業で「成約を目指す」という目的を「断られに行く」「パンフレットを配りに行く」といった目的に変える形で活用されていました。(今もされているかどうかは不明です)
失敗を恐れてしまう、緊張しやすいという方は一度お試し下さい。
失敗を一つの経験として捉える
失敗を防ぐためにもっとも有効な手段はチャレンジをしないことです。
そもそも失敗する可能性があることをやらなければ失敗することはありませんからね。
しかし、失敗を避けることによって経験できることの数も必然的に減ってしまう。
人間は経験によって成長していて、その経験のほとんどを占めるのが失敗経験になります。
ハイハイしかできなかった赤ちゃんの頃から立ち上がって歩けるようになるまで何度もこけました。
誰もが失敗を経験することで、失敗から学びながら生きているのです。
失敗だからダメ、成功だから良いではなく、失敗も一つの貴重な経験として捉える。
失敗したときに「失敗した」だけで終わらず「一つの経験ができた」と思うようにしてみてください。
自己肯定感が極端に低い場合は失敗への捉え方を変えるのが難しいため、カウンセリングで自己肯定感を高めることから取り組んでいきます。
失敗するのが怖い、失敗恐怖症でお悩みでしたらご相談ください。