頑張って自分から話しかけても一言で終わるし、話しかけてもらっても会話が続かない。
3人以上なら何とかなることはあっても、1対1では会話が成り立ちません。
仕事の帰り、電車で一緒になるのをわざわざ時間をずらしたりして2人きりになる場面を避ける人も多いですね。
どうすれば会話を続けられるかと必死にネタを探したり、コミュニケーションの本を読んだりしてもなかなか解決できないことに苦しみます。
会話が続かず一言で終わってしまう悪循環
「この話だったら続くかも」
「こんな話は面白くないからダメだな」
「こんなこと言ったら変に思われるだろうな」
いろいろと試行錯誤して話してみるのに何かぎこちない感じになって気まずい沈黙の時間が流れる。
そして、
「こう言っとけばよかったかな」
「無理にしゃべらないほうがよかったのかな」
「なんであんな話をしたんだろう」
とさらに悩んで考えますが、いくら頑張っても一言で終わる会話しかできない。
失敗経験ばかり重ねて「一言で終わったらどうしよう」「沈黙の時間ができてしまったらどうしよう」とプレッシャーを抱えてどんどん話せなくなっていくのです。
なぜ他の人たちは会話が続くのか?
事例をもとに会話が続く原理を見ていきましょう。
職場で全員が参加しなければいけない研修が終わった場面を想像してみてください。
「研修しんどかったですね」と相手が話しかけてきます。
自分もしんどさを感じていたから「いやー、しんどかったですね」と言葉を返す。
「じっとしているのが苦手なんでほんと疲れます(笑)」じっとしているのが苦手という自分の情報とつながって続く。
相手が来月も研修があることを連想、「そういえば、来月もあるんでしたよね。仕事も忙しいのにさすがにきついですよ。」仕事の忙しさとつながる。
「最近何時くらいまで仕事してるんですか?」仕事が忙しいと聞いて残業が気になって質問したり。
ここからさらに展開していったりするのですが、キリがないのでこの辺りで一旦終わりにします。
会話が続くポイントは以下の通りです。
- 反応
- イメージ、連想
- 興味関心
- 自己開示
焦って反応が起こる前に話す、イメージが湧いていない状態だから興味が持てない、自己開示をしない。
会話が一言で終わってしまうのは当然なんですよね。
会話においてイメージが大事な理由
先程のケースのように同じ体験をした直後とか、同じ体験をしているとき、同じものを見ているときは関係ありません。
イメージしなくても感覚や情報を共有できますからね。
しかし、相手だけが経験したこと、例えば自分が行ったことのない場所へ旅行したとかの話であれば別です。
イメージをして相手との情報を共有することが必要になります。
どんな景色だったのか、天気はどうだったのか、何を見に行ったのか、車で移動したのか、誰かと一緒に行ったのか、何か名物を食べたのか…
自分が知っている知識を元にイメージが膨らむ。と同時に気になることが出てきて質問していくという流れになるんですよね。
たとえば「ラーメン屋に15分もかけてランチを食べに行ったら休みだったんだよね」と言われたら、楽しみにしながら15分以上かけて歩く姿を想像する。さらに、店に着いたら「本日定休日」の張り紙があるシーンまでも思い浮かべる。すると、「せっかく遠くまで行ったのに残念でしたね!」「それは凹みますね~」という本心からの相づちが打てるのだ。「聞き手」には想像力が求められていると心得よう。
相手の話を聞いて全くイメージが出てこない場合は発達障害が影響している可能性も考えられます。
自己開示と相手への興味関心は自分を知ることで生まれる
自分は何が好きで何が嫌いで、何に対してどう感じるか、何が大切なのか…
自分のことを知っていれば知っているほど自己開示しやすくなるのは当然です。
知っていても「アニメが好きなんて言ったら変に思われるかも」と隠してしまうところはあったりしますが。
さらに自分を知ることが相手への興味関心につながるところもあります。
例えば自分は味噌ラーメンが好きだとわかっていれば、相手がラーメンを食べに行った話をしたとき「何ラーメンを食べたのか」が気になりやすい。
もし海外に行くならハワイがいいと思っていれば、相手が海外旅行に行ったと言えば「どこに行ったのか」が気になったりする。
「自分はこれが好きだけど相手は何が好きなんだろう」という発想になるわけです。
会話を続けやすくするためには自分を知ることも大切だと言えます。
後悔ではなく反省をすれば会話は続きやすくなる
「せっかく話しかけてくれたのにまた話が続かなかった…」と話が続かない経験をするたびに後悔して落ち込んでいる。
こんなことを繰り返していてはなかなか会話が続くようにはなりません。
落ち込んでいるだけでせっかくの経験が次に活かされないからです。
「あのときこう切り返したら相手はどういう反応をしたのかな?」
「その反応を受けて自分はどんな気持ちになったのかな?次にどんな言葉を発するのかな?」
後悔して落ち込むだけで終わりじゃなく、振り返ってシミュレーションをしてみる。
もし、リアルにシミュレーションができたなら実体験を積んだことと同じになります。
経験の積み重ねでパターンが身について話が続きやすくなるのです。
話が続かなかった経験は後悔ではなく反省によって活かしていきましょう。
会話は反応の連続である
イメージも興味関心も自己開示も大事ですが、会話のベースにあるのは反応です。
例えば「暑いですね」と言われたとき、暑いと感じているから「最近暑くなりましたよね」と返す。
「昨日、病院行ってきまして…」と言われたとき、心配になるから「どこか具合が悪いんですか?」と聞く。
人は相手の話を聞いて何かを感じるから反応して言葉を発するわけです。
しかし、何を返せばいいかばかり考えていると感じることがなくなり、気持ちのこもっていない「そうですか」「そうなんですね」の一言で終わってしまう。
「自分がどう見られているか、どう思われているか」を考えすぎることで相手に意識が向かず、興味関心を抱く等の反応がなくなっているところもあります。
誰しもまったく考えずに話しているわけではありませんが、反応というベースがある上で話していることを知っておいてください。
感覚的に反応できる状態になれば会話が続くようになる
会話が続かない一番の原因は頭で考え過ぎて感覚的に反応できなくなっていることです。
何かを感じ取って会話をしていれば意識せずとも勝手にしゃべっていたという現象が起こります。
だから、考えすぎずに何かを感じ取りながら話せるようにしていく必要があるのですが、「上手く話せるかどうか」「相手に面白くないと思われたらどうしよう」等と不安に苛まれている状態ではどうしても考えてしまう。
不安だから考えて話す、考えて話すから感じ取って自然に思いついたことが口から出なくなる、会話が続かないから焦って話すという悪循環にハマってしまいます。
考えることで安心感を得てしまっている面もあるから簡単にはやめられないんですよね。
カウンセリングでは以下のようなことに取り組むため、今までの悪循環から抜け出して感覚的な反応が出てくるようになります。
- 自分の本当の気持ちに気付けるようにしていく
- 普段から相手ではなく自分の気持ちに焦点を当てて生活をする
- 自分の感覚を刺激するような変化を与える
その上で実際に人と話して「反応をもとに話す感覚」を掴んでいく。
今まで緊張して失敗ばかりで嫌な気持ちにしかならなかった会話が楽しいと思える時間が増えてくる。
不安が解消され意識しなくても自然と会話が続く状態になれるのです。