自暴自棄になって問題を起こしてしまった方からご相談いただくケースがあります。
暴飲暴食、金銭の浪費、不特定多数との性行為、暴力、犯罪行為…
何か一つの大きな問題によって自暴自棄になってしまうこともありますが、どちらかというと日々の小さなストレスの蓄積が限界を超えて自暴自棄になってしまうケースの方が多いです。
自暴自棄になってしまう原因、どうすれば対処できるかをお伝えしていきます。
自暴自棄になる原因
上手くいかないことの連続
仕事、恋愛、夫婦生活、子育て等、自分なりには頑張っているはずなのに上手くいかない。
実際にはそこまで問題ではないのに、本人が悲観的に捉えて「上手くいっていない」と思い込んでしまうところもあります。
頑張っても上手くいかないことばかりだと思うと未来に絶望感が生まれ、自暴自棄になっていくのです。
経営悪化で会社を辞めさせられた、結婚を考えていた恋人に別れを切り出された、信用していた友人に裏切られた等、大きな問題が起こって自暴自棄になるケースもあります。
嫌なことを耐え忍んでいる
お金をもらうためだけにやりたくもない仕事を頑張り、家では妻に気を遣って言いたいことも言えない。
頼まれて本当はやりたくないのに役を引き受けてしまう。
何の楽しみもなく、ただ苦痛に耐えるだけの修行のような毎日。
しんどさ、つらさ、疲れ等が蔓延しているため、些細なことですら面倒くさいと感じやすくなり、嫌なことがどんどん増えていく。
苦痛を耐え続ける未来が待っているとしか思えないことで自暴自棄になっていきます。
自分を偽っている
自分の本音がわからなくなるほど自分を偽っている人も自暴自棄になります。
どれだけ自分を上手く偽ったとしても本音が消えるわけではないため、自覚がないままストレスを抱える状態になっているのです。
大きな問題を起こしたとしても「嫌だと思うことはあまりない」「ムカつくことはほとんどない」「とくに大きな問題はない」等と話されます。
無意識に問題から目を背けているため、自覚できない状態になっているんですよね。
しかし、不満や怒りを押し殺しているどんよりした気持ちは、表情や雰囲気からにじみ出ています。
自暴自棄を改善する方法
ストレスを吐き出す
対処療法的にはなりますが、ストレスを吐き出すことは効果的です。
根本的な解決を考えると、日々の莫大なストレスを抱えづらい状態にしていくことが必要なのですが、すぐには難しいために代替手段として考えていただくと良いかと思います。
以下のような人間の本能的な行動に近いことをやるとストレス発散しやすいので参考にしてみてください。
- ガムを噛み続ける(またはスルメなどの歯ごたえがある食べ物を噛む)
- 物を殴る、投げる、破る
- ストレッチをする
- 感動するドラマや映画を観て涙を流す
- カラオケで歌う(または大声で叫ぶ)
- 話せる人がいるなら話す、話せないなら書く等で溜め込んだ感情を吐き出す
- シャワーを浴びているときに愚痴を言って一緒に流す
- 小さなことでいいからやりたいことを探してやってみる
- 散歩をする等身体を動かす時間を作っていく
- 腹式呼吸や瞑想でリラックスできる時間を増やす
ストレス発散を頑張るより、何もしない、疲れたときに寝るのが効果あったもします。
ただ、ストレスを自覚できていない状態では発散しようと思えないため、カウンセリングを受けながら怒りの感情やストレスを自覚できるようにすることが大前提となります。
感情を押し殺す習慣を変える
最近の日常を振り返って嫌だと感じていることがないかどうか、イライラしたことがないかどうか等を探してみます。
頭の中だけで考えると整理できないケースは多いですので紙に書き出して考えてみましょう。
- 仕事ができない同僚のフォローばかりさせられている
- 真面目に仕事をこなす自分のところにばかりどんどん仕事が回ってくる
- 生活のためだけに自分を押し殺してやりがいのない仕事をしている
- 親に考え方を押し付けられてイライラしながら無言になる
- 些細なことで感情的になる妻の顔色を伺っている
- 愚痴ばかりの友達から毎日のようにメールがきて返さないといけない
幼少期の親子関係等の影響から感情を押し殺す習慣を続けてきた人ほど、嫌だと思う感覚が麻痺していますので「ちょっと嫌かもしれない」というくらいのことから拾わないと出てこないかもしれません。
まずは「こんなにも嫌なことを我慢してるんだな」と気付き、少しずつ我慢を減らしていくことを心がけてください。
考え方の視野を広げて多角的に物事を捉えられるようにする
自暴自棄になっている方は、自分の考えに固執して視野が狭くなっている傾向が見られます。
自分の考えに固執している状態ではどうしても自分勝手に考えてしまうため、些細なことにイライラしてストレスを抱えやすくなります。
この状態から抜け出すためには、相手の価値観や考え方に疑問を抱き、どういう思いでやったのかを日々考えていくことが大切です。
- 親がしつこく干渉してくる親はどういう思いで干渉してくるのか?
- 妻がどういう気持ちになって感情的に怒るのか?
- 友達がどういう気持ちで自分のことを心配してくれるのか?
本当の意味で相手の立場になって考えることができたり、多角的に物事を捉えられるようになれば、身勝手に考えてイライラすることがなくなります。
原因として、生まれ育った家庭環境や生まれつきの脳の働き等が考えられますが、何が原因なのか明確にしていくことも的確に対処するためには必要だといえます。
無自覚の自暴自棄を改善するためにはカウンセリングが必要
上記の対処法は有効なのですが、大前提として自分が自暴自棄になっていると認識することが必要です。
そもそも、自分が危険な状態になっていると気付けない人は対処しようとすらしません。
自覚できていない状態であっても、莫大なストレスによって何かしらの症状が表面化しますので、その症状を足がかりに原因となっている根本的な問題に目を向けていけば気付くことができます。
しかし、根本的な問題であればあるほど自分で見れない状態になっているため、カウンセリングを受けて見れる状態に軌道修正してもらうことはどうしても必要だと感じています。
誰かに言われたとしても自分が違うと思っていれば聞き入れませんし、反発する気持ちが出てくると素直に聞けなくなったりするから気付きようがないんですよね。
この自覚できない無意識に気付けるよう、対話でサポートしていくところにカウンセリングの必要性があります。
とくに親子関係から生み出された行動の習慣や考え方は自覚しづらく、怒りや悲しみの感情を抑え込んで莫大なストレスを抱え込んでいるにもかかわらず何故かしんどさを感じないといったケースもよくあります。
本質的な問題は無自覚の部分にあり、まずはそこに気付くことが大切です。
制御不能の家庭内暴力や犯罪行為に至ってからカウンセリングを受けに来られる方が多いですが、取り返しのつかない問題を起こしてしまう前にご相談ください。
本人が自覚できない性質がありますので、ご家族の方も含めて気付いていただければと思っております。