人と話すとき「自分がこう考えている、こう思っている」といったことが上手く言葉にできない。
自分が考え、思っていることを上手く表現することができず言葉が出てこない。
頭ではわかっているのに上手く話すことができないんですよね。
脳の病気か何かと思う人もいますが、対人恐怖症の症状によるものがほとんど。
リラックスできているとき、例えば気を遣わない家族や親友と普通に話せるなら間違いないでしょう。
なぜ頭で考えてることが言葉にできないのか、どうすれば普通に話せるようになるかをお伝えしていきます。
頭に浮かんでいることが話せなくなる原因
相手に気を遣いすぎている
頭に浮かんでいる言葉が出てこないのは、相手に気を遣いすぎているから。周りから「そんなに気を遣わなくていいよ」と言われている人は多いですね。
「この言い方で大丈夫かな」「こんなこと言ったらおかしいと思われるかも」と余計なことを考えるから素直に言葉が出ない。
仕事中であれば相手が忙しいんじゃないかと気にし過ぎて、話しかけるタイミングを逃してしまうことも少なくありません。
「自分が話したい、話さないといけない」という気持ちより、「相手にどう思われるか、相手がどう思うか」が上回ってしまっているんですよね。
気を遣う度合いが強い人になれば、発言だけでなくあいづちの仕方や表情まで相手にどう見られるかを気にしています。
相手の態度を観察して反応しすぎ
「相手のリアクションが小さい、ということは自分の話が面白くないってこと?」
「ソワソワしている、ということは早く切り上げてほしいと思っている?」
細かい仕草と自分の会話を結び付けてネガティブに考えてしまう。
自分の面白くない話を聞かせることに申し訳なさを感じながら、早く切り上げないとと簡潔に必要事項だけ言おうとしたらめちゃくちゃ話しづらいですよね。
相手の反応が好ましいものでなくても話していたら相手が乗ってくることなんていくらでもあります。
にもかかわらず、相手の反応にビクビクしてあれこれ余計なことを考えるから上手く言葉が出ない状態になってしまうのです。
相手が怒っている、自分を嫌っていると思い込んで苦しむ心理についてお伝えしています。
固定観念に縛られている
- 相手に失礼なことを言ってはいけない
- わかりやすく説明しなければならない
- お客様には敬語をキッチリ使わないといけない
こんなことを生真面目に考えていると、話すときに変な気負いが出てきます。
気負いは緊張につながるため、会話する上で重要な役割を担う脳の働きが低下、頭の中に浮かんでいたはずの言葉が消えて話せなくなる。
自分で設定した高いハードルを越えないといけないので、話せる内容も極端に減ってしまうわけです。
周りからは「もっと普通に話したらいいのに」と言われることもありますが、ほぼ無意識でやっていることなので問題だと気付けないまま放置しています。
無意識レベルで定着している固定観念を知るのはなかなか難しいですからね。
べき思考は、すべき思考、なければならない思考とも呼ばれ、この思考が多い人ほど生きづらさを感じています。
失敗経験によるプレッシャー
上手く話せなかったという失敗経験を何度も繰り返すことで、また失敗したらどうしようという予期不安が高まります。
失敗したとき誰かに指摘されたなんてことがあるとより一層不安が高まって大変です。
「今度は上手く喋らないといけない」「相手に伝わるように話さないといけない」等と自分にプレッシャーをかけてしまい、余計に緊張して上手く話せなかったという結果になる。
そして、また「今度こそは」と思って挑むのですが、さらに緊張して上手く話せないという悪循環を繰り返す。
失敗を繰り返す中でどんどん自信が失われて上手く話すことが困難になっていくのです。
そもそも失敗に対する捉え方が問題になっているところも大いにあります。
カウンセラーの体験談を交えて失敗恐怖症の原因、克服方法を具体的にお伝えしています。
言葉が出ない状態を悪化させる「普通」へのとらわれ
「普通に話せるようになりたい」は逆効果
上手く言葉が出ない状態になっていると他の人と同じように話すことができないので、「普通に話せるようになりたい」と思う人は多いのですが、脳の働きから言えば間違いなく逆効果になります。
人間の脳は高度な発達によって、体温を一定に保つ等の役割を果たす『ホメオスタシス(恒常性)』が思考にまで働くようになりました。
「普通に話せるようになりたい」は現状を脅かす考えであるため、「普通に話せていない自分」を維持しようと反発が起こってしまうのです。
これは熱くなれば汗をかいて体温を下げる、寒くなれば鳥肌が立って体温を下げないようにするのと同じ。
生命維持のために働くホメオスタシスは非常に強力なので、「緊張してるし今は普通に話せないよな」と自分を肯定する考えで反発が起こらないようにしていきましょう。
「自分は普通に話せない」という思い込みが強化
「普通に話せるようになりたい」と思うということは、普通に話せていない現状があるということ。普通に話せない自分を前提として生まれた考えです。
つまり、「普通に話せるようになりたい」と思うたび「自分は普通に話せないんだ」と認識することになる。
認識すればするほど「自分は普通に話せない」という思い込みが強化、どんどん普通に話せなくなっていくんですよね。
そもそも「普通に話せない自分」というセルフイメージに問題があります。
たしかに今は不安や恐怖による緊張で普通に話せないかもしれません。しかし、それは「普通に話せる自分」が緊張によって上手く言葉が出ない状態になっているだけの話です。
あくまでも状態として捉えるようにしてください。
「普通になりたい」と思うとき「普通ではない」という前提があります。自分が普通ではなくどこかおかしい気がするから普通になりたいと思うわけです。
頭で考えてることが上手く言葉にできない状態の改善方法
自分の考えを言葉にする習慣を作る
頭で考えてることが上手く話せない人は、普段から自分の考えを口に出さない傾向が見られます。
いつも頭の中だけで考えている状態でいざ話すとなっても、どの言葉で表現すればいいかパッと出てこないのは当然ですよね。
人は話すとき脳内にちりばめられた情報を統合する作業をおこなうため、しゃべる機会が少ない人ほど統合する回数が減り、結果的に統合するのが下手になってしまうわけです。
ただ、いきなり話す頻度を増やせないので自分の考えをノートに書いて文章化することから取り組んでみてください。
ニュースを読んで考えたこと、ドラマや映画の感想、人の話を聞いて思ったこと等を少しずつ言葉にしていきましょう。
正しいか間違っているかでジャッジせず、世間一般からズレていると思うことでも自由に書くことが大切です。
感情を抱えられる心の余裕を作る
普段から感情を表に出さないようにしていると蓄積されていきます。
人はそれぞれ心の中に感情を抱えるための器を持っているのですが、感情をため込んでいる人は器の中にほとんど空きがありません。
ほとんど空きがない器の中に新たな感情が入ってくるとどうなるでしょう?あふれ出してしまいますよね。
あふれ出した感情に飲まれているから考えていたはずの言葉が出ない、話せない状態になっているわけです。
まずは喜怒哀楽を中心に普段自分がどういう感情を抱いているか振り返って気付けるようにしていきましょう。
そして、溜め込んでいる感情を自覚できたら声に出すようにしてください。
誰かに聞いてもらえるのが一番いいですが、難しいようでしたらシャワーを浴びながら独り言をつぶやく、ぬいぐるみに向かって話すでも大丈夫です。
今の自分にできることだけやろうと心がける
周りが上手く話せる人ばかりだと思うと自分も同じくらい話せないとと無理をする。
無理をするから緊張して上手く言葉にできない状態になってしまうため、「今の自分にできることだけをやろう」と心がけてみてください。
実際他の人に比べたらわかりづらい話をしているのかもしれません。
たどたどしい感じになったりしたら相手がどう思っているかものすごく気になるでしょう。
それでも、今の自分が持っている能力以上のことはできないのです。
「今の自分にできることは何だろう?」と自分に問いかけながら話すようにしていただければと思います。
頑張って話そうとする度合いが下がることで緊張が和らぎ、結果的に言葉が出てきやすい状態になるのです。
カウンセリングを受けて成功体験を積む
頭で考えていることが過度の緊張によって言葉にできなくなるのは対人恐怖症の症状です。
カウンセリングでは対人恐怖症を克服するために、まず自分基準で自分を見ることができるようにしていきます。
自分基準を持つことができれば他人基準による過度なプレッシャーから解放される。
自分のペースで話すことができるから緊張感が和らぎます。
そして、人とのかかわりの中で自分なりに話せたと思えれば成功体験となり、積み重ねによって失敗経験が塗り替えられていく。
「自分は話せるんだ」という自信が芽生えて、頭で考えたことが話せる状態になるのです。
頭で考えてることが上手く言葉にできず、学校や職場でつらい思いをされているようでしたらカウンセリングをご利用ください。