普通に人と話すだけでなぜか息苦しくなる。学校や職場だけの人もいれば、家族や友達が相手でも息苦しくなってしまう人もいます。
喉が詰まるような感覚、発汗、震え、吃音…あまりの息苦しさに吐き気をもよおす人もいました。
こんな状態で人と接しないといけないのは本当につらいですよね。
肺か呼吸器、もしかして心臓の病気なのか、過呼吸なのか。何かの病気かと思って呼吸器内科に行ってみたけど異常なし。
いったい何が息苦しさの原因になっているのでしょうか?
息苦しさの原因として考えられること
激しい感情を抑圧している
どんな場面でも息苦しい場合は違う病気かもしれませんが、「人と話すときに息苦しくなる」というのは人とのかかわりで問題を抱えている証拠だと言えます。
嫌われるのが怖くて言いたいことが言えない。表面上はやさしい、良い人と言われる反面、心の底には嫌な気持ちや怒りが蓄積されている。
背景にはたいてい親子関係の問題や過去のいじめ等があります。
親の過干渉に自尊心を傷つけられ続けているにもかかわらず自覚がないままイライラを溜め込む。
中学の頃にいじめられていて何も言えず何も抵抗できないまま耐えるしかなかった。自分の気持ちを誤魔化さないと自分を保てなかった。
普段は平然としていますが、心の奥底では恨んでも恨みきれないほどの怒りや悲しみ等を抱えています。
言いたいことを言う、感情を表に出すとなれば、すべて出てしまいそうになるから無意識にブレーキがかかる。ブレーキをかけながら話しているから息苦しいのです。
自分が我慢して丸く収まるならいいと思っていませんか?感情の抑圧は自覚がないまま大きな問題を引き起こしています。
身体の使い方に問題がある
人と話すときだけでなく日常的に息苦しさがある場合は、身体の使い方に問題が生じている可能性が高いです。
スマホやパソコンの画面を見るときの顔を前に突き出した悪い姿勢を続けていると肋骨が歪みます。
歪んだ肋骨は横隔膜の動きを悪化させ、息を吸ったとき体内に入る酸素の量が少なくなる。
呼吸の回数が増えて過呼吸のような状態になってしまうことで息苦しさが出てくるのです。
「スマホ首」という言葉があるくらい、スマホを見ることで姿勢が悪くなっている人は多いため、息苦しさを感じる人は近年増加傾向にあるのではないかと思っています。
逆に、姿勢を良くしようと胸を張る、骨盤を立てる等を無理に続けた結果、肋骨が開いて横隔膜の動きが悪化しているケースも少なくありません。
発達障害傾向のある人は、自分の身体の感覚に対して鈍感さがあり、正しいと言われる姿勢を無理やり続けてしまいやすい傾向があります。
人と話すときの息苦しさを和らげる3つの対処法
過度な緊張状態を緩和する
感情を抑えて我慢している人は、過度の緊張状態になっています。
緊張すればするほど身体が強張って呼吸が浅くなるから息苦しさを感じるわけです。
目上の人と話すときや人前で発言するときに息苦しさが増すのはいつも以上に緊張するから。
対処法としては、普段から緊張しづらい身体の状態を作っておくこと。
運動やストレッチで血流を良くする、もしくはマッサージを受けるなりして身体の緊張をほぐすようにしましょう。
定期的に肩甲骨を寄せる動作をするだけでも効果はあります。
面接やプレゼン、朝のスピーチ等、人前で話す場面で緊張しないために有効な方法をお伝えしています。緊張をほぐす応急処置は日常生活でも活用していただけます。
莫大なストレスを解消する
日々の人間関係で抱えるストレスは莫大です。
感情を抑えるストレスだけでなく、息苦しさを感じながら人とかかわることへのストレスも大きい。
対処法は抱え込んだストレスを吐き出すことになります。
例えば、ヒトカラ(一人カラオケ)で大声を出してみたり、車の中で歌ってみたり、スルメや煎餅など硬い物を食べたり、ウォーキングやジョギングをしてみたり、クッションを殴ってみたり、新聞を破ってみたり、感情を書きなぐってみたり…
何が合うか人によって違いますが、やってみてスッキリすることが一番いいですね。
根本的には人間関係でストレスを抱えすぎず上手く発散できるようになることが必要だと言えます。
職場の人間関係とストレスの関連性について。「ストレス=悪」ではないという考え方もご紹介しています。
自律神経を整える
自律神経は交感神経と副交感神経からなるもので、新陳代謝、体温、呼吸、消化、血圧などを調整しているのですが、ストレスが発散できず過度に溜まった状態が続くと乱れてしまいます。
血液の流れを制御している交感神経が反応するため、呼吸が浅くなるだけでなく首や肩の凝りがひどくなるといった症状も出ます。
自律神経の乱れまで出ている場合の対処法はマインドフルネスがいいでしょう。
マインドフルネスは今この瞬間に意識を向けることをやります。
お風呂に入ったときの温かさ、手を洗っているときの冷たさ、足が地面に着いている感覚等、今現在の何かに焦点を当ててみてください。
外部の雑音に影響を受けづらくなるため、継続していくうちに自律神経が整っていきます。
人と話すときの息苦しさを解消するために
身体の使い方を見直す
しっかり横隔膜を動かす呼吸をしていくことで息苦しさを解消していきます。
まずは横隔膜の動きを回復させるところから。
下記の呼吸を1日10回以上やってみてください。隙間時間に数回ずつ、合計10回になる形でも大丈夫です。
- 背中側の肺を膨らませるように背中を丸めながら息を吸い込む
- 息を止めたまま数秒待つ
- 息を吐きながら背中側の肺を萎めていく
息を吸い込むときに肩が上がると効果が出づらくなりますので注意しましょう。
続けているうちに呼吸がしやすくなったことが実感できてきます。
身体を上半身起点で動かすこと、頭で首を押し下げないようにすること等、他にも有効なことはありますが、人によって何をすれば良いかは変わってきますのでカウンセリングでご提案しております。
カウンセリングで感情の抑圧を解く
カウンセリングでは抑圧しすぎて見失った本音を見つけ出し、少しずつ表現していくことによって息苦しさを解消していきます。
「悪い人ではないから」と自分を誤魔化して怒りを感じないようにしていたり、「親が可哀想だから」と責められずにいたり…
あの手この手で抑え込んでいる人は多いですが、対話の中で本来あるはずの感情に目を向けていくと本音が見えてきます。
まずはカウンセリングで表現して、少しずつ家庭や学校、職場でも本音を話せるようにしていく。
本当の自分を取り戻し、息苦しさへのとらわれから抜け出したときに症状は消えるのです。
自分が納得できるかどうかも改善のポイントになりますので、こちらからお伝えする症状の原理、原因など気になるところはご質問いただければと思います。
今までの感情と同じように息苦しさも我慢する傾向が強く、我慢のし過ぎてうつ状態になっている人は多いです。
うつ状態になると克服までの期間が長引いてしまうのでなるべく早い段階でご相談いただければと思っております。