仕事の合間や休憩時間、お昼休み…職場で雑談ができずに困っている方は多いです。
私も職場で雑談ができない悩みを抱えていたので「どうすれば雑談できるようになるんだろう」と試行錯誤していた時期があります。
経験が足りないのかと思って自分から頑張って同僚に話しかけてみたり、スキルが足りないのかと思って雑談力が上がる本を読み漁ったり、知識が足りないのかと思って新聞を読んだり話題のドラマを観たり…
しかし、何をやっても雑談はできないまま。気がつけば人とのかかわりを避けるようになっていました。
私のように雑談ができずに悩んでしまう人もいれば、逆に人と話すのをまったく苦にせず誰とでも楽しく話せる人もいますよね。
なぜ雑談ができないのでしょうか?
雑談ができなくなってしまう原因と根本的な克服方法をお伝えしていきます。
そもそも「雑談」って何?
「雑談ができない、雑談ができない」と言うわりに、雑談がどういうものかわかっていない人がほとんど。
特殊なことのように捉え、ハードルを上げているから難しく感じてしまうところがあるんですよね。
雑談とは、とくに中身がないことを適当に話すものです。
さまざまな内容のことを気楽に話すこと。また、その話。とりとめのない話。
出典:デジタル大辞泉
「気楽に話す」とある通り、みんな緊迫感のない緩い会話をしています。
思い付きでパッと話す、言いたいことがなければ話さない、聞きたいことが出てきたら聞く、聞きたいことがなければ聞かない。
間違ったことを言っていても問題なければ聞き流し、違う解釈をされても支障がなければ「まあいいか」となる感じ。同じ話をしても「それさっき聞いたって(笑)」で済む。
本当に親しい関係になればボーッとしてて「えっ?なんの話してたっけ?」みたいなことも許されます。
気を抜くと会話がズレまくるような私でも、拒絶されず会社に馴染めていたので間違いありません。
相手によって気を遣わざるを得ないケースはありますが、基本的に雑談は肩の力を抜いて適当に話すものと認識しておいてください。
雑談ができない原因
生まれ持った性質
大前提として生まれつきの性質が影響していることは間違いありません。
政治家、講演家、芸能人、コメンテーター…世の中を動かしている社交的な人たちはしゃべりが得意です。
それは生まれ持った性質であり、同じレベルになるのは至難の業だと言えます。
いくらでも話のネタが湧き上がってきて話そうと思えば何時間でも話せる。話せるのが当たり前だから、そもそも会話の得手不得手を考えることすらない。
「雑談ができない」と悩む時点で生まれつき会話が得意なタイプではないわけです。
かといって、雑談ができるようになれないという話ではないのでご安心ください。
私も生まれつき得意ではありませんが、今は雑談ができるようになっています。
育ってきた環境で重ねた会話の経験
生まれつき得意じゃない性質でも、小さい頃から人と話すことに苦手意識がない人もいます。
家庭環境、学校生活等の影響です。
人は成長していくことができるので、たどたどしい話し方でも家族がちゃんと話を聞いてくれたり、友達が一緒に会話を楽しんでくれたり。
話すことの楽しみを感じ、成功体験を重ねることで雑談ができるようになる可能性はいくらでもあります。
逆に、家族が集まってもテレビのことを少し話すだけ、学校に行ってもほとんど人と話さないとなれば、話せるようにはなりませんよね。
雑談ができないからなるべく話さないようにする。相手に合わせてばかりで自分の話をしない。
人と話す機会がなく、自分からも避けてきたから雑談ができないのもあるわけです。
感情の抑圧
感情を抑え込んでいることも雑談ができない原因になります。
なぜなら、雑談は自分の感情や感覚をもとに共感し合う情緒の交換がメインだからです。
例えば、強い怒りの感情を抱えていたら、その怒りについて話をするのが自然ですが、楽しく会話をしている場にはそぐわない。
深刻に悩んでいることがあれば、その悩みを話したくなりますが、職場の何気ない雑談の場では重たすぎる。
だから、本当に話したいはずのネガティブな内容を抑え込み、みんながしているような楽しい会話に無理やり合わせています。
無理をすることで緊張状態になって思考が働きづらくなる。感情を抑圧しているせいで相手の話を聞いても心が動かない。何か話したい、聞いてほしいという気分にならない。
感情を抑圧した状態になっているから雑談ができないのです。
自分が我慢して丸く収まるならいいと思っていませんか?感情の抑圧は自覚がないまま大きな問題を引き起こしています。
雑談は女性より男性の方が苦手になりやすい
雑談が苦手な人は比較的男性に多く見られます。
だから、ゲームをしながら話したり、タバコを吸いながら話したり、キャバクラで女性を介して話したり、ギャンブルや風俗のネタで話したりするわけです。
雑談が苦手だと思っていない人でも、どこか逃げ場を作りながら話しているところがありますね。
原因としてよく男性脳と女性脳の違いが出てくるのですが、私はそれ以上に積み重ねてきた習慣の影響が大きいのではと思っています。
テストの点数、運動能力の高さ、ゲームの上手さ、キャラクターの強さ、格好良さなど、小さい頃から男性は目に見える表面の話をすることが多い。
周りからも結果で評価されやすく競い合う傾向が見られます。
それに対して女性の場合はお絵描き、人形遊び、おままごと、お菓子作りで上手い下手を競うことが少ない。勉強や運動も能力を競うより一緒に頑張ることが重視。
他の子より絵が下手でも周りの大人は上手いと言ってくれる、お菓子もおいしいと喜んで食べてくれる、かわいらしさがあればかわいいと言ってもらえる。
表面だけでなく内面も評価されやすく、共有を大事にする傾向が見られます。
過程も含めて共有、共感を中心とする女性に比べ、結果重視の表面的な会話が中心となる男性は雑談が苦手になりやすいのです。
職場で雑談ができない状態を克服する9つの方法
会話の不完全さを大切にする
雑談ができない人は結果ばかり見ています。
上手く話せたかどうか、変なことを言わなかったか、相手の反応が良かったか、自分といて嫌そうではなかったか、会話を楽しめたかどうか…
だから、中身がない会話になってしまうんですよね。
話を振ってもらったのに上手く返せないこともあれば、失言で気まずい空気にしてしまうこともあるでしょう。
上手く説明ができなくて「えーっと、あれあれ、なんだっけ?」となるのもよくあります。
結果だけ見れば「あー、失敗した…」と落ち込むかもしれませんが、不完全な人間らしさが出せたと考えることもできます。
雑談は人それぞれの不完全さによって面白みが出てくるものです。
上手く話そうとするのではなく、逆に不完全さを大切にする意識で会話してみてください。
「実はみんな不安を抱えている」という事実を知る
人と話すとき「相手は興味ないかも」「上手く説明できないかも」「変なこと言っちゃったかな」といった不安は大なり小なり誰もが抱えています。
「気持ちが落ち着かない」「どきどきして心細い」といった症状は、「不安」や「緊張」といわれるもので、誰でも感じる感情の一種です。
何か心配事や気がかりなことがある時、目上の人や初対面の人に会う時、試験の前などにこのような症状を感じることは正常な反応で、別に病気ではありません。原因となる心配事などがなくなれば、症状も自然に消えてしまいます。
初対面でまったく不安を感じない人はいませんし、ある程度仲良くなってきても会話中に不安を感じては解消され、また感じてを繰り返すもの。
学校や職場、近所付き合い、保護者同士のかかわりでは、よっぽど仲良しでない限りどこか不安を抱えながら話しています。
「みんな不安を感じながら話しているんだな」と思って周りを見るようにしてみましょう。
自分のことを話す
雑談ができない人は自分のことを話していません。
一番のネタであるはずの自分のことを話さないから話題が少ない。
おしゃべりな人の話を聞けばわかると思いますが、たいてい自分のことを話していますよね。
通勤途上であったこと、仕事をしていて思うこと、自分が感じたお店の印象、相手の見た目や持ち物に対して思うこと、気温や天気に対して感じること、最近気になっていること、休日に何をしていたのか、何に興味関心があるのか…
「何か話せそうなことはないかな?」と自分に問いかけてみてください。
仕事が忙しかった日に「今日は大変でしたね」と一言感想を言うだけでもかまいません。話したときの反応がいまいちでも後々つながってくる可能性もあります。
せっかくのネタの宝庫を無駄にせず使っていきましょう。
相手に興味を持つ
相手に興味が持てないと雑談は難しくなります。
別に聞きたいことはないけど、とりあえず沈黙が気まずいから話そうか…とりあえず無難に天気の話を振ってみたけど相手の答えに興味ないし…興味を持たれていないから相手も一言で終わりやすい。
逆にどんな人にでも興味が持てれば雑談はものすごく楽です。
相手の話を聞いてイメージが湧き、さらに興味を持って話が出てくる。相手は興味を持ってもらえたことに嬉しくなって話し出す。相乗効果で会話がどんどん盛り上がっていきます。
興味を持てるようになるためにまず「相手はどんな人なのか?」に意識を向けてみましょう。
そして、会話の内容でまず疑問に思うことから少しずつ聞いてみる。
通りすがりの人のように何も知らない相手に興味は持てませんが、情報が集まれば集まるほど興味を持ちやすくなっていきます。
どれだけ話を聞いてもイメージできず興味の持ちようがないという人は発達障害の可能性も考えられます。
引き出しを増やす
興味関心の幅が異様に狭くて雑談がしづらくなっているケースもあります。
例えば、テレビはNHKのニュースしか見ない、1人のアーティストの曲しか聴かない、ゲームや漫画等の娯楽は一切やらないとか。
人はお互いの情報をもとにしたイメージを共有して話しますので、最低限の情報が共有できないと話しづらくなるのです。
目の前のものを一緒に見ながらが話しやすいのは情報の共有がしっかりできているからだと言えます。
周りに合わせて全く興味のないドラマを見るとか、嫌いなゲームをするとかまでは必要ないと思いますが、普段から一つでも多くの情報に触れるようにしていきましょう。
関連付けのクセをつける
雑談は事前にいろんな知識や情報を得ておくことよりも関連付けできるかどうかが大切です。
関連付けができないとなかなか話が続きません。
今は動画でもニュースでも関連付けされたものが勝手に表示されるので、自分で関連付けて考える機会が減っています。
関連付けできるようになりたいなら、日々の出来事や周りの話で「これとこれは似ているな」とか「これとこれは関係ありそう」とかをなるべく考えながら生活してみて下さい。
苦手な人でも書き出していくとできるようになるまでの期間を短縮することができます。
文字だけでイメージしづらい場合は、図で描いていくと効果的です。
今の自分にできる会話を心がける
どれだけ雑談ができない状態であったとしても、今の自分にできることはあるはずです。
盛り上がるような会話はできずとも、話しかけてもらえたら何か一言返すことはできるかもしれません。少し勇気を出せば自分から話せる人もいるかもしれません。
「できない、できない」とできないことにばかり目を向けていてはできることもできなくなっていきます。
人間は思い込みの生き物です。
できると思えばできるし、逆にできないと思えばできなくなります。
雑談ができない自分にでもできることはないか、あるとしたら何なのかを考えてみましょう。
ずっとできないことばかり考えていたから簡単ではないと思いますが、「自分は雑談ができないから」と思考停止させないでください。
臨機応変な対応力を身に付ける
雑談力の本を読んでみたり、ネットで調べたりしていたとしても、実際に人と話すことを避けてばかりいては、いつまで経っても雑談ができるようにはなれません。
対人恐怖症や引きこもりは典型例です。
雑談ができるようになるためには、どうしても人とのかかわりが必要となります。
十人十色、人の性格や考え方、価値観がひとりずつ違うように、人によって対応の仕方も変わってくる。
だから、人とのかかわりが少ないうちはなかなか上手くいかないのですが、経験値を積むことができているのは間違いありません。
「このタイプの人にこう言ったら怒らせてしまったな」とか「このタイプの人にこれをしたら喜ばれたな」とか、実際の経験で対応力が高まり、話せるようになっていきます。
とはいえ、いろんなタイプの人と急にかかわりを持つのは現実的ではありませんよね。
まずは身近な人に対して、何が好きで嫌いで、どういう考え方をしていて、何が大事でとか、他人を観察することから始めてみてください。
自分が話したい人とかかわりを持つ
いきなり誰とでも話せるようにするのは不可能です。
まず職場で自分が話しやすい人、一緒に居て楽な人、仲良くしたい人を探してください。そして、少しずつかかわりを持つようにしましょう。
自分から話しかけることができないなら、話しかけてもらいやすい場所にいるだけでも大丈夫。
自分がどういう人なのかを伝え、相手がどういう人なのかを知る。互いに自己開示を重ねていくと心理的な距離感は縮まり、少しずつ深い話ができるようになっていきます。
苦手意識は回避によって強化されますが、逆に自分の意志でかかわりを持ち、成功体験を重ねれば克服できるのです。
雑談恐怖症の可能性
職場で雑談ができない悩みを克服する方法をご紹介しましたが、どれを実践しても上手くいかないケースがあります。
そもそも不安や恐怖が強すぎて雑談できない場合は、雑談恐怖症に該当する可能性が高いです。
雑談恐怖症は雑談が苦手というレベルではないため、テクニック的なことを頑張っても克服することができません。
不安や恐怖を生み出す問題、背景にある感覚の問題に気付き、解消していくことが必要となるからです。
雑談恐怖症がどういうものか知りたい方は以下のページをご確認ください。