顔がこわばっていないか気にしながら話す女性

人と話すとき自然と笑顔になれず、緊張した感じで顔がこわばってしまう。

頬の筋肉が痙攣したようにピクピクして、ぎこちない表情になるから相手も反応する。

変に思われたんじゃないか、またこわばるんじゃないか…

自分の顔がこわばるかどうか気になって仕方ないのは、対人恐怖症の一種である表情恐怖症に該当する悩みです。

鏡に向かって笑顔のトレーニングをしてみたり、表情筋をほぐしたりしてみても効果なし。

成す術なく「どうすればいいのか」と途方に暮れておられるかもしれません。

この記事では人と話すときに顔がこわばる原因と改善方法をお伝えします。

人と話すときに顔がこわばるのはなぜ?

「相手にどう思われるか」を気にしすぎている

「顔」は対面するときに一番見られる場所なので、「人にどう思われるか、どう見られるか」を気にする人ほど意識しやすい。

人と話すときに自分の表情が気になるのは「相手からの評価」を強く意識していることを表しています。

相手に悪い印象を持たれたくないのはもちろん、笑顔で感じの良い人に見られたいんですよね。

だから、面白くないことでも周りに合わせて笑い、みんなが楽しそうなときは自分も笑う。

自分の気持ちに関係なく無理やり表情を作るからこわばってしまうのです。

自分の表情が変だと思っている

会話中に顔がこわばってしまう人は、真顔なのに家族や友達から「怒ってるの?」「怖い」と言われた経験があったり、写真を見て自分の表情がおかしいと思った経験があったりします。

自分では普通の顔のつもりが、相手には悪い印象を与えているのかもしれない…

表情を気にしすぎることで緊張して、泣きそうな顔になっていると思う人も多いですね。

鏡で確認しながら人とかかわることができない以上、自分の表情に対する不安はぬぐえません。

変な表情になっていないかどうかばかり気にし続けるしんどさで顔がこわばってしまうのです。

笑顔に対する義務感が強い

看護師、飲食店スタッフ、キャビンアテンダント…

患者さん、お客さんと接するにあたって笑顔を求められる仕事です。

自分の感情に反してでも笑顔を作らないといけない、感情労働と呼ばれるこういった仕事では燃え尽き症候群になってしまう人が多いと言われます。

マクドナルドの「スマイル0円」なんて典型例ですよね。

接客の仕事ではないから関係ないと思われるかもしれませんが、義務感で笑顔を作っている人は同じくらいの負荷がかかっています。

笑顔を作るためにエネルギーを大量に消費、鬱々とした気持ちになりやすいからどうしても顔は険しくなる。

にもかかわらず、頑張って笑顔を作ればひきつるのは当然、あまりのしんどさに顔がこわばってくるわけです。

顔のこわばりは過去の体験によって引き起こされている

会話中に顔がこわばる状態になっている人は、過去の人間関係で緊張状態にありながら表情を作り続けていた経験があります。

  • 親に説教をされているとき怒られないように嫌な顔を見せなかった
  • 学校の先生が厳しくて嫌で仕方なかったのに笑顔で接していた
  • 友人のグループから外されないように楽しくもないのに笑顔で居続けた
  • あまり笑わないことでノリが悪いと言われて無理やり笑うようになった
  • いじられて本当は嫌なのに楽しんでいるふりをしていた

本当の感情が出てくると不都合が生じるので感じないように麻痺させていく。

感情の動きがほとんどないから場面に合わせて表情を作り出すようになる。

感情が伴っていない表情に自分自身が違和感を抱き、相手も同じように感じるのではと思って不安になる。

相手の何気ない仕草を自分の表情と結び付け、自分の表情がおかしくなっていると思い込む。

繰り返されていく中で表情への意識が強化され、人と話すときに顔がこわばる状態になってしまったのです。

きっかけになったことがわかりやすいケースもあればわかりにくいケースもありますが、無理やり表情を作った経験が影響しているというのは共通しています。

人と話すときに顔がこわばる状態を改善する方法

自分の気持ちを表現する

症状のつらさやしんどさを中心にネガティブな感情を吐き出していきます。

嫌悪、怒り、悲しみ、寂しさ、妬み…いろんな感情を溜め込んでいるのですが、表情恐怖症で悩んでいる人は、無意識に感情を抑圧しているのでなかなか気付けません。

まずは自分の感情に意識を向ける習慣を作って、少しずつ自覚できる状態にしていくことが必要です。

一日のどこか、できれば夜のゆっくりできる時間にその日あった出来事を思い出しながら「あのときどういう気持ちだったかな」と振り返るようにしてみてください。

取り組んでみたけど何も感じない、全く変化がない場合は、非常に強く感情を抑圧している可能性が高いため、カウンセリングを受けながら少しずつ自分の気持ちを感じられるようにしていきましょう。

自分の正直な気持ちを言葉にできればできるほど、肩の力が抜けて表情が柔らかくなっていきます。

固定観念を手放す

ブレーキになっている固定観念を手放すことができれば感情と連動して表情が出やすくなります。

無理やり義務感で笑おうとするのではなく、感情でフワッと笑う感じになる。

笑顔で無理矢理接しないといけないと思わないとすーっと忘れるという感じがする。気を使わないようにしようと思ったら楽な感じになっている。

引用元:対人恐怖症の女性との意図的面接、1994、鹿児島県立短期大学紀要

肩の力が抜けると表情が柔らかくなって、自然と笑顔が出てくるようになるんですよね。

「笑顔で愛想良くしていないといけない」といった表情に関するもの、それ以外でも縛られている固定観念がないかを探してみてください。

カウンセリングでは固定観念に気付くサポートをおこない、形成された原因を知ることによって手放せる状態にしていきます。

表情以外の要素に目を向ける

笑顔でニコニコしていなくても好かれる人はいくらでもいます。

ほとんど笑わなくて真顔だけど嘘をつかない真面目で信用できる人、あまり笑わないけど優しくてマニアックな話になると意外と面白い人とか。

表情以外で好かれる要素があればいくらでもカバーできます。

真剣に仕事をしているからこそ険しい顔になってしまう人もいますが、一生懸命やっていることがわかれば接客ですら問題は起こりません。

自分が持っている表情以外の要素、とくに内面で良いと思えるところを探してみてください。

周りの人に褒められたこと、良いと言ってもらえたこと等も思い出しながら考えていただくといいですね。

表情のことばかり考えてしまって思いつかない場合は、視野を広げる働きかけが必要となりますので一度ご相談いただければと思います。

他人基準を自分基準に

会話中に顔がひきつる根本的な問題は、他人の評価を気にしすぎる他人基準にあります。

面白くないのに笑う、楽しくないのに笑う、みんなが笑っているから笑う…

「みんなに好かれたい」「誰にも嫌われたくない」という気持ちが強ければ強いほど無理に表情を作ることが増えてしまうわけです。

カウンセリングでは、他人に合わせてばかりで見失った自分を取り戻していくために、日々感じたことや過去のエピソードを中心に話していただきます。

対話を繰り返す中で「自分」というものがわかってきて、世間や他人ではなく自分を基準とした感覚が身についてくる。

自分の感情や本音を大切にすることができ、言いたいから言う、やりたいからやるといった主体的な行動が増えていきます。

相手からの評価への意識が薄れ、表情への意識もどんどん小さくなる。そして、気付いた頃には顔がこわばることがなくなっているのです。

人と話すときに顔がこわばる状態でお悩みでしたらカウンセリングにお申込みください。

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