上司が怖くて日々どうかかわっていけばいいのか悩み苦しんでいる人は多いです。
- すぐ感情的になって怒り出す
- 重箱の隅をつつくようにできていないところばかり指摘してくる
- こちらの意見に耳を傾けようとせず一方的に責めてくる
こういった傾向の有無にかかわらず、上司に対して怖さを感じて萎縮している状態では仕事に支障をきたします。
質問するタイミングをうかがいすぎて逃し、「なぜ聞いてこなかったんだ」と指摘を受ける。
怖くて萎縮することでミスが起こりやすくなり、さらに怒られては萎縮してミスをしてしまうことの繰り返し。
気付けば出勤前に動悸が激しくなったり、寝つきが悪くなったり、憂鬱な気分が続いたりするようになります。
怖い上司に怯えずに過ごせる7つの対処法
1.上司のことを知り予測できるようになる
怖い上司と上手くやっていくために大切なポイントの一つとして「上司の反応を予測すること」が挙げられます。
自分がこういう発言(行動)をしたら上司はこういう反応をするだろうといった感じのものですね。
もし、これができていないまま接していた場合、上司から指摘や指示を受けたときに焦ってより大変な状況に陥ってしまいます。
以下は実際にあったケースです。
部下:「資料が作成できましたのでご確認をお願いします。」
上司:「う~ん…何かこのあたりの表現がおかしい気がするなぁ。もう一度、考えて作り直してよ。あっ、そういえば、この資料って誰かに見せてチェックしてもらっているよね?」
部下:「すみません、誰にもチェックしてもらってなかったです…」
上司:「は?いつも誰かに見せてチェックしてから出せって言ってるの聞いてなかった?」
部下:「申し訳ございませんでした。次回からはちゃんとチェックしてもらうように気をつけます。」
上司:「気を付けるって、それだけでちゃんとできるのか?」
何を言っても責め立てられ、追い込まれて耐えがたいつらさを感じるようになっていきます。
こういう事態を防ぐためにも、上司の反応を予測していくことはすごく大切なんですよね。
上司の反応を予測するために
上司の反応を予測するためには上司のことを知る必要があります。
上司への恐怖心や嫌悪感が強ければ強いほど抵抗は出てきますが、その抵抗を乗り越えて上司のことを知ろうとしていくのです。
- 情にもろいのか薄情なのか
- 細かいのか大雑把なのか
- 本やメディアの情報に影響されやすいのか
- 上役からの指示には逆らえないタイプなのか
- お客さんにはヘコヘコするのか
- 馬鹿にされていると思いやすいのか(傷付きやすいのか)
- 人に良く見られたい気持ちが強いのか
- 感情的になりやすいのか
- トラブルが起こったとき動揺しやすいかどうか
- 夫婦関係や子供との関係性、友人関係はどんな感じなのか
- 記憶力が高いのか低いのか
このような情報を収集できていればできているほど、上司の反応を予測しやすくなります。
そして、その情報を元に日々「上司はこういう反応をするかな?」と予測しながら対応していく。
続けているうちに上司の反応を予測する精度が高まるため、怒られたり嫌な思いをすることを回避しやすくなるのです。
2.上司に求めていることを気付いて減らす
「上司だから当然これはしてくれるはず」「上司はこうあるべき」といったことを思いながら上司と接していると、上司が期待に応えてくれないたびにダメージを受けてしまいます。
例えば、上司に「格好良くて、仕事ができて、部下が嫌がることを率先してやってくれて、部下の立場で親身に接してくれて、一緒に食事に行けば絶対に部下にお金は払わせない…」なんて求めたら?
そんな上司はなかなかいないので、毎日毎日期待を裏切られることになってダメージを受け続けてしまいます。
「上司に問題があるから上司が変わるべき」というのも同じ。
パワハラをしてくるような明らかに問題がある上司だったりすると、それがあたかも正しいことのように思えるのですが違います。
問題がある上司であればあるほど変わらない。変わろうとはしない。
問題がある人ほど自分を顧みることがないからです。
変わらない相手に変わることを求めることほど自分を苦しめることはありません。
怖い上司に求めていることは何でしょうか?
一度思い当たることを書き出してみてください。
親が不完全だと感じて育った人ほど目上の人に多くを求めてしまう傾向があるため、上司との関係に親子関係が影響している可能性もゼロではありません。
親の接し方や家庭環境が子供にどれだけの影響を与えるかをご説明しています。
3.怖い上司と同じ土俵に立たない
どれだけ問題のある上司とでも上手くやれている人はいます。
同じ相手なのに自分は上手く付き合えていない、他人はできている。
一体何が違うのでしょうか?
その違いは相手と同じ土俵で闘っているかどうかにあります。
問題のある相手と同じ土俵で闘う人は、相手が上司であった場合まず勝てません。相手の立場が上なわけですからね。
それに対して、同じ土俵で闘わない人はどうでしょう?
同じ土俵で闘わなくなった時点で、相手の優位性は失われます。
さらにその土俵が自分に有利であれば、立場を逆転させることさえできるかもしれません。
嫌な相手であればあるほど同じ土俵に立とうとしてしまいますが、どうすれば同じ土俵から抜け出せるのかを考えて行動していくことが必要だと言えます。
同じ土俵から抜け出すにはどうすればいい?
自分がどうしたいかをもとにより良くしていく方向で努力を重ねることです。
例えば、税理士になりたいと思っているなら勉強をする、もっとお客さんの笑顔が見たいなら喜んでもらえることを考える、自分のスキルを高めたいなら自発的により多くの経験を積むとか。
注意)パワハラをしてくる上司に仕返しをしたい、反省させたいと思うことは、自分が本当にやりたいことではないので違います。
問題のある相手を変えることは基本的に不可能です。
問題のある相手に執着して反撃したり、嫌がらせをしたりしても自分の幸せには一つもつながりません。
それどころか、毎日毎日そういうことを考えるほど性格が歪んだり心も汚くなったりしていきます。
そんな低次元の問題を抱えた相手に執着する時間ほど無駄なものはありません。執着すればするほど時間をドブに捨てているのです。
自分の人生の貴重な時間を捨てるという行動は、自分を大事にしていない証拠でもあります。
自分がどうしたいか、その相手を抜きにして自分が果たしたい目的、目標に向かって少しずつ行動を起こすことが自信となり、土俵を変えるという根本的な解決へと導いてくれるのです。
自分の基準ではなく他人や世間の基準で生きる人が増えてきています。 他人基準から抜け出して自分基準で生きていくにはどうすればいいのでしょうか?
4.怖い上司を心理的に見下す
「上司が怖い」と毎日のように思っていると上司のことばかり考える状態になってしまいます。
怖くて嫌な思いしかしないはずの相手なのに、なぜかずっとその人のことばかり考えるっておかしいですよね。
でも、上司のことが怖いと思っていると警戒心が高まるのでどうしても考えざるをえない。
上司の一挙手一挙動に心が左右されている時点で自分が心理的に下の立場になっています。
完全に相手を意識して心を揺さぶられてるので、何かされるたびに反応して精神的にも肉体的にも疲れてしまうのです。
心理的な立場を逆転させて上司を見下す状態、自分が心理的に上の立場になることができれば上司に対する怖さを感じなくなります。
映画『グッド・ウィル・ハンティング』では、クライエントから屈辱的なことを言われたカウンセラーが、相手を可哀想な人だと見ることで怒りを鎮めるシーンがありました。
自分が見下している相手に何かされたとしても、別に怖さを感じることはなく「あ~、またやってるわ」くらいの感じにしかならないからです。
例えるなら、赤ちゃんか小さな子供として扱う感じですかね。
小さな子供が嫌がらせしてきても「まあ、子供だし」ってなるのと同じ感覚にすればどうでもよくなっていくわけです。
怖い上司との心理的上下関係はどうでしょうか?
感情的になりやすい上司は間違いなく幼児性が高いため、「子供だな」という見方はしやすいのではないかと思います。
5.人格否定を受け流す考え方を持っておく
「無能」「役立たず」「クズ」「出来損ない」といった言葉は相手を傷つける高い攻撃力を秘めています。
しかし、こういった言葉をサラッと無自覚に言ってしまう人がいて、本人はただ感情のまま言っただけであまり気にしていないのですが、言われる側はたまったものではありません。
そんな上司がいたら日々受けるダメージは計り知れないものになってしまいます。
では、そういう相手とかかわらざるをえない場合どうすれば良いのでしょうか?
相手から「役立たず」という言葉を浴びせられたケースで考えてみましょう。
真に受ければ「自分はダメなんじゃないか…」と悩んでしまうキッカケになりかねない。自分の存在意義すら見失ってしまう危険性があります。
かといって、逆に「いや、自分は役立たずなんかじゃない」と否定すれば、怒りが湧いてきて相手の思う壺になってしまう。
だから、「そうだよね、確かに相手からすればこのときの私は役立たずだったかもしれないね。」と認めるのが有効です。
これは自分を卑下しているわけでも開き直っているわけでもありません。
あくまでも「相手の主観によるこの場面、このタイミングの自分」という限定された自分に対してであって、「すべての人の視点によるすべての場面、タイミングの自分」に対してではないと切り離しているのです。
ひろゆき(西村博之)さんの「それってあなたの感想ですよね?」と似ています。
自分を否定されたり非難されたりしても、それはそのときの自分でしかなく、しかも相手の主観によって歪められたものでしかないということを心にとどめておいてください。
モラハラやパワハラをしてくる上司も人格攻撃をする言葉をよく使いますので、対策として使っていただくと良いと思います。
6.怖い上司に特別扱いをさせる
これは私自身が実際にやっていた方法なのですが、自分と性格的に合わない人が上司だった場合でも特別扱いを受けられる方法があります。
それは職場で代用できない存在になることです。
上司にとって自分と合わない部下はやりづらい存在であり、パワハラやモラハラをするタイプの上司はそういう部下を排除したがります。
だから、もしその部下が他と代えがきく存在であれば、辞めさせるようにしむけてくるし、上司も強気に出やすいので「辞めたいなら辞めろ」と口で言ってくることすら珍しくありません。
でも、代えがきかないほど仕事ができて、さらに他の同僚からも信頼が厚い、尊敬の眼差しで見られている等、他の人では代わりになれないほどの存在だった場合には、辞めさせたくても辞めさせられないどころか、他の社員の目もあるので気を遣って接しないといけない。
辞められないように配慮せざるをえなくなるところが出てきます。
上司、部下という関係である以上、上司の方が立場は上のはずなのにその部下には逆らえない。他の部下には注意できることがその部下にはできないといった状態になっていくんですよね。
代用できない存在になった部下は立場関係なく強いです。
ただ、そのためには向上心を持って自分を高めていくことは必要で、以下のようなことに取り組んで周りの人の何倍、何十倍以上も努力する必要があります。
- 異業種交流会に参加していろんな企業のトップと名刺交換する
- 何でも構わないので個人事業主として事業をおこして売上を発生させる(副業として)
- 難関資格を取るために勉強する
- 今の仕事のやり方を抜本的に変えるやり方を考えて実行する
簡単ではありませんが、上司への対策だけでなく自分の人生にとって必ずプラスにはなりますので、取り組んでみることをお勧めします。
7.上司の嫌がらせに反撃する準備をしておく(ファイトバック)
私自身もパワハラ上司、モラハラ上司、無責任上司に苦しめられた経験があるのでどれほど大変なのかよくわかるのですが、あることができるようになってから上司の攻撃をピタリとやめさせることができていました。
パワハラやモラハラをしてくる上司はたいていターゲットを選定して、そのターゲットに対して攻撃をするという流れがあります。
だから、そのターゲットになりさえしなければ攻撃されることがなくなるわけです。
ターゲットは何となく本能的に選んでいるところがあり、弱そう、逆らうことができなさそう等といった雰囲気的なものを嗅ぎ取っています。
「ぶち切れて辞表たたきつける覚悟がありますよ」とか「労基に駆け込むか弁護士連れてきて法的制裁を加える覚悟がありますよ」とか「誰かと協力して仕返しする覚悟がありますよ」とか、いつでも反撃できる雰囲気を持っている人はターゲットにならないのです。
どれが相手にとって困るのかは状況によって変わりますが、いざとなったら相手が困ることを捨て身でやる覚悟があるという「牙」を相手に見せるようにしていきましょう。
例えば、「労基に駆け込むか弁護士に依頼して法的制裁を加える覚悟がありますよ」という「牙」を見せるのであれば、以下のような準備が考えられます。
- ICレコーダーか何かで上司の発言を録音しておく
- 暴言、暴力があった日時と内容をメモしておく
- 相手が逃げられない状態にするために必要な法的根拠が何かを調べ上げて準備しておく
- 労働問題に強い弁護士を探しておく
いつでも実行できるように準備さえすれば、実際にやる必要はありません。
準備がしっかりとできていれば自信となり、自分の雰囲気をガラッと変えてくれます。その「牙」が見え隠れする雰囲気に上司は攻撃しづらくなっていくわけです。
面倒くさいことかもしれませんが、本気で何とかしたいと思っている方はやってみてください。
上司が怖くて萎縮してしまう人の深層心理
上司が暴力を振るってきたり、暴言を吐いてきたりするのであれば、上司が怖いと思うのは当然かもしれません。
しかし、上司が何をしてくるわけでもなく、少し厳しいくらいの人でも怖いと感じるケースがよくあります。
そもそも上司に対して感じている怖さとはいったい何なのでしょうか?
「自分が狂ってしまうことへの怖さ」と「自分の存在が消されてしまうことへの怖さ」の2つをテーマに説明していきます。
自分が狂ってしまうことへの怖さ
狂ってしまうと言えば大げさかもしれませんが、上司とかかわる中で「自分がおかしくなってしまうのではないか」という怖さを感じているところがあります。
適応障害やうつ病、パニック障害といった精神的な問題を抱えてしまうかもしれません。
上司に対して暴言を吐き、場合によっては暴力を振るってしまうかもしれません。
従順で人に合わせやすく、自分を押し殺している人ほど、内面に強い怒りや屈辱感を抱えています。
自分がおかしくなってしまうことへの恐怖心が、上司が怖いという感覚を生み出しているのです。
自分が我慢して丸く収まるならいいと思っていませんか?感情の抑圧は自覚がないまま大きな問題を引き起こしています。
自分の存在が消されてしまうことへの怖さ
たとえ上司に「生きている価値がない」と言われたとしても、物理的に自分の存在が消えてしまうことはありません。
しかし、自分が否定され続けていると思う状態が続くと、自分の存在が許されないような居たたまれない気持ちになってきて、存在が消されてしまうような感覚になっていきます。
人は誰しも死への恐怖を持っていますので「自分が消される=死んでしまう」という感覚になれば恐怖しかないでしょう。
よくクレーム対応で「別に命を取られるわけじゃない」と言われたりしますが、人によっては命を取られてしまうほどのダメージを受けることがあります。
上司によって自分の存在が消されてしまうような感覚になっているから怖いのです。
幼少期は親の助けなしに生きていけないため、親との関係、とくに父親との関係が影響している可能性も考えられます。
上司を怖いと思う感覚をなくすために
自分に自信を持つ
上司に対する怖さを感じないために必要なものは自信です。
上司にどれだけ自分の存在を否定されるようなかかわりを受けたとしても、自分に軸があって影響を受けない状態であれば怖いと感じることはないでしょう。
自信とは自分を信じ、自分の気持ちを大切にしていく中で養われていきます。
普段から自分の気持ちをどれだけ大事にできていますか?
実際に人とかかわる場面では相手を優先してしまうとして、振り返って自分の気持ちを書き留めて残しておくようにしてください。
カウンセリングを受けていくことで、自分の中にある影の部分、否定したくなるような嫌な部分も含めて「これがあるから自分なんだ」と思えるようになるため、上司にどういう接し方をされても大丈夫な状態になっていきます。
どうすれば自信が持てるようになるのか?大切な前提から具体的な方法をお伝えしています。
自分の存在が消されないことに気付く
人の根底にある感覚は誰に何を言われようが変わりません。
例えば、猫を「可愛い」と思う感覚の人に「気持ち悪い」と思えと脅したところで変わらないですよね。
どれだけ攻撃を受け否定されたとしても絶対に変わらない感覚を私たちは持っています。
そのことを実感し、自分の中で確信を持てるようになったとき、上司が怖いと思うことはなくなるのです。
カウンセリングでは上司が怖いと思う状態への対処法だけでなく、根本的に怖さを感じない状態になれることを目指してサポートしております。
上司が怖くて萎縮してしまうことでお困りでしたらご相談ください。